複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を(略)同じような小説書いている方アドバイス下さい! ( No.65 )
- 日時: 2012/05/13 13:38
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: TRpDG/gC)
5・初。
仕事の初日はそれなりに緊張していた。
でもとりあえず、会社の本社に向かい、同僚や先輩に挨拶をしたりして、自分のきぐるみを選んだ。
その作業が楽しい。
私は、きぐるみがたくさん並んでいる中から、赤い物をかき集めた。
どれも可愛くて悩んだが、私は結局猫のような耳を生やしたきぐるみにした。
配る風船も選んでいいということなので、お言葉に甘えて私の配る風船は全て赤色にした。
完璧。
そして、私が風船を配る担当の道路に向かった。
仕事を紹介してくれた男の人は居なかった。
でも先輩は優しいし、会社の雰囲気も悪くないので私は安心していた。
今日は特別に先輩が側で風船を配っている。
きぐるみの中は暑いし、動き辛いから大変だけれど、子供が駆け寄ってくるのは凄く嬉しい。
声は出してはいけないそうだから、私は黙って子供たちを抱き上げたり頭を撫でたりしてあげた。
皆笑っていてくれたから凄く嬉しかった。
「っていうことなんです!」
私が今日の初出勤の話を、帰ってからすると、ライアーは黙って聞いていてくれた。
何だ、人の話、結構しっかり聞けるんじゃないか。
「それはよかったな」
まだ返ってくる返事はそっけないし、読んでいる本から目線をあげてくれないけれど、別に良かった。
なんか、人と一緒に居るっていいな。
仕事もアレなら苦労しなさそうだ。
「あ、でも」
「どうした」
「変な子が居ました」
私は顎に手を添えて思い出そうとする素振りをした。
本当はそんな素振りはしなくて良い。
だって鮮明に覚えている。その子の姿を。
私の言い方は、あまり良い印象を持たないような物だったから、無論ライアーも眉をひそめて、本から顔を上げた。
「あんまり関わらない方がいいんじゃねぇーのか。ここは都会だし、色んな奴がいるし」
ライアーは珍しく長く喋ると、ベッドの上においてあった真っ黒なしおりを、本の開いてあるページに挟みこんだ。
色んな奴、か。
そんなことを言われて思い出すのは、やっぱりアスラとかいう奴のことだ。あの人は一体なんなのだろう。
おじさんは、大丈夫だろうか。
アレは私を庇ってくれたのではない。
結果的にそうなって、アスラに隙ができただけだ。
おじさんはきっと、アスラを庇ったんだ。
アスラに、人を殺させたくなかったんだ。
気分が重くなって、たまらず俯いてしまったが、私が最初に話し始めたのに、途中で話を止めるのは失礼だし、ライアーが怒りそうなので再び顔を上げた。
「……そうでしょうか」
「そうに決まってるだろ。どんな奴なんだよ」
ライアーにも好奇心はあるようで、眉をひそめて頭を掻きながらも、しっかり私の方を向いている。
「綺麗な建物の2階から道路を見下ろしているんです、ずっと」
〜つづく〜
五話目です。
腕が痛いです。背中も。
タイピングしているとどうも色んなところが痛くなって困ります。
デスクトップのハイスペックのpcが欲しいです。
あとPSVita。