複雑・ファジー小説

Re: 赤が世界を(略)色々募集してます(´・ω・`) ( No.71 )
日時: 2012/05/14 17:01
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: JSuMRn8G)


11・朝。


少しだけ、期待したんだ。
顔を上げてくれて、もしかしたら私の話をしっかり聞いてくれるんだと、思った。
でもすぐに顔を背けちゃって、がっかりしたけどまぁいいやって思った。
それで話をしようと思ったら、また私の話をちっとも聞いてないような反応をして。

ショックだった。私頑張ろうとしたのに。

「あ、起きた?」

重い瞼を開けると、コップを片手に持った昨日と同じ服装の社長が遠くに立っていた。
机の上はもうとっくに片付いていて、私の身体には毛布がかかっている。

あぁ、私、本当に。

申し訳なくなって急いで立ち上がる。
薄い毛布を片手にしっかりと掴んだ。

「本当に申し訳ありませんでしたっ!」

土下座までしたい気分だったけど、思考が追いつかなくて頭を下げるだけになってしまった。

でも社長は優しいから。
ってなんだよ。何だよ。社長が優しいって。それじゃあ私その優しい社長を利用しただけだ。
本当に、最低だ。
そんな自分が嫌で唇を軽く噛む。

「気にしないでよ」

社長の足音が近づいてくる。
社長は本当に優しい。
私を気遣ってくれている。
なんか、泣きそうだ。

「私、我が儘で、連れと喧嘩して、いや、喧嘩じゃなくて、その、私が勝手にホテルを飛び出してきたんですけど、えっと」

喋っているうちに訳が分からなくなってきた。
声が震えてみっともない。昨夜のことがよみがえる。

私、ライアーにあわせる顔がない。

でも、帰らなくては。
ライアーにこれ以上迷惑をかけるわけには。

なら、逃げるか?
このまま帰らないで。
それもいいんじゃないか?
ライアーは私がいても迷惑するだけだ。
なら。なら、さ。

「無理しないでいいよ」

社長の優しい声音で私は顔を上げる。

外で小鳥が鳴いている。
もう朝だ。
ライアーも起きたかな。

社長はコップを机に置いて私の頭を撫でてくれた。
昨日は何時まで起きていたのだろう。
薄い隈が出来ている。

「っでも……」

本当に申し訳ない。
私の我が儘に社長までもを巻き込んだ。

社長の指が私の髪をすいている。
ライアーにもやられたことだけれど、社長はまた違った感覚がする。

ライアーのはくすぐったいけれど、社長のは温かい。

「なら、雪羽ちゃん」

社長は私の手に握られていた毛布を握った。
私はコレくらい自分で片付けたいので、放さない。
社長も放さなかった。

「抱かせてよ」


〜つづく〜


十一話目です。
やらかしました。
最後のセリフは完全に私の趣味なので。ぐへへ。
このセリフ言わせたかったのかもしれませんね。ぐへへ。
中途半端の終わらせ方はなぜかというと、まだちょっと設定に悩んでいるからです。
まぁ、アレですね。
雪羽が『初めて』かそうじゃないか。
それをまだ決めていないからです。ぐへへ。
どっちも私的にはいいんですがね。ぐへへ。