複雑・ファジー小説
- Re: 赤が世界を(略)色々募集してます(´・ω・`) ( No.72 )
- 日時: 2012/05/14 17:06
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: JSuMRn8G)
12・再会。
依頼を無事終えることが出来たあたしは、次の依頼が来るまでの暇つぶしとして町をぶらついていた。
この町は治安が悪い。大体の大きな町はそうだ。皆同じでここのような雰囲気が漂っている。
あたしはすっかり仕事の習慣として、人通りが少ないところを通るようになっていた。
誰かと絡むと後々、仕事に影響が出るかもしれないからだ。
だからあまり人と関わりたくなかった。
でも。この間は。
「ハァ……」
自分が情けなさ過ぎてため息が出た。
この間あたしは人に助けられた。
バカな女とレッドライアー。
何であの2人が、一緒なのかは知らないけれど、何か事情があるのだろう。
恋仲とは考えにくい。あの2人が釣り合うなんておかしい。
だったら、何で? 何であの2人は一緒なんだ?
しかも結構仲が良さそうだった。
アレ。そうだったっけ。
まぁ、ともかくあの2人はどこか変だった。とにかく。
ふらふらと、あの時の情けないあたしとジャルドの事を考えながら当てもなく歩く。
道路の端にはいつものように、薬に溺れたバカ共が横たわっている。
虫がたかっていて不潔だ。みていて感じ悪い。何とかならないのか。
あたしはバカ共に冷たい視線を浴びせる。
そのとき、視界の端に鮮やかな赤が映った。
あの時の、絵の具をべったり塗りこんだような赤。
「え……あ、レッドライアー?」
その髪色を間違えるはずもなかった。
見たことがなかった。噂には聞いていた。
でも見るまでは信じなかった。
その髪が美しい赤色だということを。
だってありえない。染めていないのに。地毛だという。あの色が。まさか。
あの赤が自然の物? 確かに美しい。
美しいのだが、アレが自然で出来るのか? 不思議でしょうがない。
その髪を惜しげもなく見せ付けながら、レッドライアーは道路の真ん中で蹲っていたのだ。
足を両手で包んで、小さくなって。
あたしは素通りするわけにも行かずに、レッドライアーに駆け寄った。
「ちょ、ちょっと、どうしたのよ」
顔を伏せていて表情はわからないが、呼吸が荒い。
ただ事じゃあないようだ。
肩を掴むと激しく上下している。
返事はない。
あたしは軽く肩をゆすった。
「ねぇ、なにかあったの。答えなさいよ」
すると、レッドライアーが顔を上げて、その赤い瞳と目があった。
額にはうっすらと汗が滲んでいて、なんだか疲れているようだ。
なんで、こんなところで?
「あ……? ……んぁ、金髪……女」
どうやら、あたしのことを憶えていたようで、レッドライアーはそういうとまた顔を伏せた。
何。
金髪女?
なにその呼び方。
「あたし、ミーニャ。2つ名は『薄汚れた子猫(ダーティキティー)』。ちゃんと憶えて」
レッドライアーは俯いたままで数回首を動かした。
分かったということだろう。
あたしは気を取り直して、レッドライアーの背中を撫でた。まだ落ち着かないようだ。
「……赤女が、」
呼吸は荒いがレッドライアーは言葉を紡ぐ。
精一杯なのだろう。だからあたしは無言で次の言葉を待った。
「赤女が……どっか、いった」
レッドライアーはそう言うと、再び顔を上げ、あたしの顔を見つめた。
縋るように。懇願するように。
「……どうし、よう」
2人が恋仲説は結構有力かもしれん。
ありえない、かな?
〜つづく〜
十二話目です。
キティの本名を出しましたよ。
設定にはまだ悩んでいます。