複雑・ファジー小説

Re: 黒ウサギと銀色蝶々 ( No.1 )
日時: 2011/10/16 23:39
名前: 白月 (ID: P6IPfdWt)

 プロローグ『1人、歩く最中で』





 
 どうして、こんなことになったんだろう————。

 
 雪がハラハラと降りしきる中、考える。


 ふと気付くと、森の中で倒れてて。


 その森の近くの自分の住んでいたはずの村に戻っても、母さんも、父さんも、友達も、みんないなくて。


 あるのは、焦げた跡の残る、瓦礫の山で。


 でも、何が起こったのか全然分からなかった。


 今より小さい時の記憶はあるのに、今に至るまでの記憶は覚えてなくて。


 分かるのは、自分のことと、現在と、記憶があるだけの過去。


 それで、考える。でも、ヒントもないのに答えを見つけるなんて無理だ。


 それは、俺でも分かる。


 そして、ふと空を見上げた。


 何か、頬を伝う感触がした。すると、それが合図だったように、どんどん目から、何かがあふれだしてくる。


 「お父さん、お母さぁん……みんなぁ。どこへ行っちゃったんだよぅ……」


 でも、本当は、分かってた。みんな、どこへ行ったのかってことは。


 今の俺じゃ行けるはずもない、遠い天に行ってしまったてことが。


 そして、俺が泣きじゃくりながら見上げた空は————。


 灰色というよりも、銀色に見えた。


 



 






 

 
 そして、その銀色の空は。


 何故かとても愛しい色に見えたんだ。