複雑・ファジー小説
- Re: 黒ウサギ×銀色蝶々 キャラ、アドバイス募集中です ( No.10 )
- 日時: 2011/10/23 23:38
- 名前: 白月 (ID: P6IPfdWt)
第二話『美少女情報屋』
「はぁ……どうしてこんなことになったんだか……」
クロトは今日で何回目か分からないため息をついた。
今彼は、涼風の吹く夏の夜の街を歩いていた。
中央区は、仕事帰りの大人や飲み明かす人々でごった返し、喧騒で溢れかえっているのだが、ここはクロトも通う高校の学区内で、飲食店があまりないので、今は静かだ。
そして、手に持っていた走り書きの地図と、銀色の装飾や花の模様など入った、やたら豪華な名刺を見た。
そこには、『情報屋』の文字。
何故、クロトが情報屋のもとに行かなければならなくなったか。
それは、約30分前に遡る————。
そう、あの時。リューラが忘れてました感、全開の口調でボスが自分の事を呼んでいると聞かされ、待たせて迷惑をかけているのではないかという、自責の念と、それを忘れていたリューラや今日溜まっていたストレスが爆発。
怒りの絶叫ののち、壊れるんじゃないかと思うくらいの勢いで扉を開け放ち、部屋から飛び出すと、廊下を歩いている人々を器用に避けながら猛スピードで走り去っていく。
そうして、ギルドのボスの部屋の前まで着くと、走って切れた息を整え、扉をノックしてから「失礼します」と、言ってから部屋に入る。
すると、中にはギルド『深淵の希望』のボスであり、クロトの恩人でもある、ロキ・ラギウスがいて、彼は待ってましたと言わんばかりに「おお、来たかぁ!」と嬉しそうに言ってクロトの肩を遠慮なくバシバシ叩く。
「随分とでかくなりやがって。こないだまでこんなに小さかったのになぁ」
感慨深そうに彼は無精ひげをなでる。
「左様で。で、用件は?」
クロトはロキが感慨深そうにしている間に、すかさず話題を切り替えた。
何故なら、彼は話しているうちに話が次から次へとよく分からない方向へ飛び、しまいには本題を忘れるということが多々あり、たたでさえ仕事でくたびれているというのに、ここに来るまで全力疾走して来たのだ。
本題を忘れるなんてこと、正直御免こうむりたかった。
で、彼は実際少し忘れかけていたらしく、「ああ、すまねぇな」といいつつ、にかっと笑う。
「で、お前を呼んだ用件だが……」
一体どんなことだろうか……。ごくりと唾を飲む。
「おつかい行ってきてくれ」
「……は?」
つい、出てしまった心の底からの声だった。え、呼んだ用件、これだけなのか……? 嘘だ。と信じたかった。
たった今まで真剣なムードだったのだ。クロトは自分の耳を疑う。
そして、ロキはというと、「だからなぁ」と人差し指を左右に振る。
「おつかい、行ってきてくれねぇか」
「……は?」
こんなやり取りが数回続いた後、走り書きの地図とやたら豪華な名刺を無理やり持たされ、ギルドから追い出されるように出てきたのだった。