複雑・ファジー小説

Re: 黒ウサギ×銀色蝶々 キャラ、アドバイス募集中です ( No.25 )
日時: 2011/11/01 00:34
名前: 白月 (ID: P6IPfdWt)

「ユーリ・フェルーカとティアリア・ルービット……!? うちのギルドメンバーじゃないか!」

 クロトのその叫び声に、その場が一気に静まり返る。
 
 しばらく、驚きとどこかピリピリした空気が流れる————。
 そして、その沈黙を破ったのは。

「……ギルドメンバーの蝶も誘拐するってことは、普通に考えたらその誘拐犯、ギルドに喧嘩売っているようなものね」

 エトワール、だった。しかも、いつもと全く変わらない無感情な声音と冷静な言葉。
 それに、リューラは思案顔で「……そうだねぇ」と、呟く。

「多分、エネルギー計画を熱狂的に支持してる奴らかもね」

「そうかもしれないわね。あいつらの集会掲示板、ここ最近ギルドへの批判コメントがエスカレートしてた」

 「ま、原因は誰かのガセ情報だろうけど」と、最後にエトワールが付け足しつつ、ほぐしたサバ缶の中身を口の中に放り込む。
 
「なんで、そこまでする……?」
 
 しかし、クロトは2人の話し合いなど聞いていなかった。
 ……いや、耳に入らなかったと言うべきか。
 2人とはパーティを組んだこともあった。けれど、そこまで親しいわけでもない。だが、彼は怒りがふつふつと湧き上がっていた。
 なによりも、クロトにとってギルドとそのメンバーは家族みたいなもので、親も故郷も幼いころに失った彼の人生の大半はここで過ごしてきた。
 
 ただの自分の思いのおしつけかもしれない。
 それでも。クロトにとってはなによりも大事なものだった。
 ……と、ふとクロトは思いつき、エトワールに声をかけた。

「なぁ、エトワール。お前って……有名な、情報屋なんだよな?」

 エトワールはそう声をかけられ、ゆったりとした動作でクロトの方に顔を向ける。

「ええ、そうね。裏社会の方じゃね」

「なら、誘拐犯のアジトとか、そういうことの情報を集めること、出来るよな?」

「できるわね」

 ぽつりぽつりと質問を述べるクロトに対して、エトワールは簡素に答えていく。
 しかし、エトワールの瞳にはいつものとは違う光が湛えられていた。

「じゃあ……仕事を、頼みたい」

 クロトはそう、静かに。しかし、力強く言った。

「でも、そういうことに首を勝手に突っ込むってことは命だけじゃなくて、クロたんの立場も危うくなるかもよ?」

 リューラはそう諭すように述べる。
 そう、確かにそんなことをすれば“自制のきかない身勝手な奴”というレッテルを貼られ、ギルド内での立場はかなり不安定なものとなる。
 もし仮に犯人を捕まえて警察に賞状をもらったとしても、組織内でそういうことをすればはじかれるようになるのは変わらない。
 しかも、ギルド内ばかりか、シャングリラ計画の支持派達からの嫌がらせも度々起こるようになるかもしれない。
 だがしかし、クロトにしてみれば想定内の範疇で、そういうことを承知で言いだしたのだ。

「でもね、それだけじゃなくて、わたしはあなたに情報を与えるだけ。その情報で人を幸せにするか、不幸にするか。そして、あなた自身をどうするか。それは、あなた次第。
 そのことについてだれも責任なんか取りはしないし、取れるのはあなただけ」

 クロトは、自分を見据えるエトワールの目の鋭さが増した気がして、なんとなく緊張を覚え、ゴクリ、と唾を呑んだ。





 
 すいません。一旦切ります。