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複雑・ファジー小説
- Re: 時雨の刀 第一部 ( No.12 )
- 日時: 2011/10/30 17:00
- 名前: Sky ◆M7x9jXIufw (ID: x/gr.YmB)
しかし少女は気にしない。
少女の長く伸ばされた銀髪が微かに揺れ、大きくつぶらな瞳は月を捕らえて離さない、そして月も少女を捕らえて離さなかった。
「おいっ!!」
鉄と鉄が交差する音の中に、少女の檻を壊して少女の元へ十八くらいの青年が少女に声を掛けた。
藤堂平助ーーそれが青年の名前であった。
新選組八番組組長の肩書きを持つ優しそうで尚かつ戦いの時は鋭く目を光らせる、動物で例えたら“獅子”というのが似合う様な男、それが藤堂ーー。
藤堂は自分の持つ刀を振り上げて少女の鎖を切りはずして少女の腕を引いたが少女は動かなかった。
その少女の異様な行動に平助は少女の前にしゃがみ込んだ。
少女の瞳に写ったのは新選組の男の顔ーー。
しかし感情の無い少女はただ男をつぶらな瞳で見つめるだけであった。
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