複雑・ファジー小説

Re: 時雨の刀 ( No.18 )
日時: 2011/12/29 14:40
名前: Sky  ◆M7x9jXIufw (ID: qTh1yy9a)

少女が涙をこぼす中、近藤が紙と筆を持って来て

「君が此処に住むというのなら此処に君の名前を書かなきゃな」

と言って隊士書を手渡すが、少女は首を捻り頭の中で必死に何かを考えていた。

“名前”

少女にはこの国にふさわしい名前を持ち合わせていない、本名は男達がそう呼んでいたのだからそうであると判断出来るのだが

「すみません…私の名前は西洋風なので、新たに名を付けて頂けませんか?」
「……それは構わないが、本名は教えてくれないか?」
「Diana=Asper」(ディアナ=アルペル)
「でぃ…??」
「本名を教えたので…早く名付けて頂けると嬉しいのですが……」
「えっ…えーと」
「時雨でどう?時の雨を象徴する少女は、月からの伝言者と言うしね」

悩んでいる近藤に小耳を挟んだのは沖田、それに「さっすが総司!」と乗る気を出した藤堂や「おうっ!良い意味じゃねぇか、確かに時の流れを象徴させる顔をしてやがるし」と原田が乗った。
「俺はコユキとか…」という永倉に「それは…犬の名前と同じでしょ?」とツッコむ松原、「あの白わんこはいいが、コイツは人間だ」と厳しい目で見る土方とそれを見守る斉藤が居た。
なにやらざわざわしていると、近藤が総司の意見に提案して命名書+隊士書に「時雨」と書き込んだ。

こうして、捕われた少女は消え“時雨”と姿を変えたーー。



【第一部】 名を無くした少女と新選組 
『ニ話』 全てを無くした少女の名はーー終幕ー