複雑・ファジー小説

Re: ブレイズ・ブレイク! 〜時渡り編〜 ( No.16 )
日時: 2011/11/01 20:26
名前: 花影 ◆wNp4n0Oqx2 (ID: 3IH6VK8y)

第一章〜時渡り編〜
 ACT3「戦場」



ガキィンと金属質な音が幾多に空気を震わす。それは主に三つの場所で響いていた。

「いったぁー!ちょ、これランスじゃ無理よね?!」

シュナは大きくランスを振りかぶると、周りの敵を吹き飛ばす。そのうちの数対は、真っ二つになってガシャンと大きな音を立てた。
それを、さらに何度も繰り返す。


「あのねぇ、魔法で強化しないからだよ!」

そんなの相手は鉄なんだから分かるだろっ?! とルカから怒声が飛んでくる。
それにシュナは少し遠い目をした。

「やっぱり……?」

「「あたりまえだぁー!!」」

ついには、ルカと同時に黒髪の少年まで叫ぶ。こいつら気が合うんじゃないか? なんてシュナは思ってしまった。
手に握ったランスを横向きに目の前で持ち直す。そのままクルリと円を描くように回し叫んだ。




「かわれぇ──!」




手元でランスがその形状を大きく変えた。刃などついていない、長さ30cmほどの棒。
しかし、その棒には柄と複雑な幾何学模様が入っていた。先端にはルビーのような石が埋め込まれていて淡く光り輝いている。


「いつ見てもその武器すごいよね。いったい何形態に変化するわけ?」

「んーと、わかんないよ」

「えぇ……」

がっくしと肩をおとすルカ。それほどまでに興味があったようだ。
しかし、そんなルカにも等しく敵は襲ってくる。

「ちょぉーっと、しゃがんでねー!」

シュナは手にした棒で空中に魔方陣を書き込む。
それを珍しそうに、黒髪の少年は眺めていた。


「昔は手で書いてたってのはホントなんだな……」

「へ? 今は違うの?」

キョトンとしてルカは少年に聞く。その目は好奇心でキラキラ光っていた。

「あぁ。俺は魔法が使えねぇけどな」

「ふーん。今でもやっぱ血筋?」

「そうだ」

黒髪の少年が一歩下がったところへ敵が飛び込んでくる。それを少年は手にした大剣でたたきった。

「みーんなー!よけてねー」

二人の背後からシュナが叫ぶ。その手元には大型術式の魔方陣が……


「って! 危ないよ、それ!!」

「お前……?!!」

二人は慌ててその場を飛びのく。
直後。
シュナの声が戦場に響いた。







「GO!」

       ●

赤く燃え上がる景色を前にして、シュナはのんびりと座った。

「疲れたぁ〜」


その横顔に、二本の視線が突き刺さる。確実に悪意のこもった視線だ。

「あのねぇ」

「俺らは死ぬ思いしたんだぞ?!!」

黒髪の少年が、シュナに食って掛かる。ルカも助ける気はないようだ。逆に応援しているようにも見える。

「まぁ、あの状況は怒られてもしょうがないよ?」

シュナの背後から声がかけられた。リンだ。
少し呆れた表情をしているように見えるのは、シュナの勘違いだろうか?

「まぁ、ここは一応かたずいたし本部いこ?」

リンの問いかけに黒髪の少年がうなずいた。




・・・━━━━あとがき
今回は少ないです……。
当分少なくなることが、多くなると思います。

なるべく1000以上は書きたいですが……