複雑・ファジー小説
- Re: ブレイズ・ブレイク! 〜時渡り編〜 ( No.4 )
- 日時: 2011/10/29 18:31
- 名前: 花影 ◆wNp4n0Oqx2 (ID: 3IH6VK8y)
- 参照: 題名おもいつかない・・・
第一章〜時渡り編〜
ACT1「少女」
凛と響いた声に一瞬、シュナは動けなくなってしまう。目の前の少女はただ、静かに目を伏せていた。
「えっと……それって……?」
ようやく、少し動くようになったシュナの口から言葉が漏れる。その言葉に少女は勢いよく頭を上げた。驚いて思わず後ずさりするシュナ。
「あなたに私の術が聞こえたなら、あなたの潜在能力は私より上ってことなの」
頬を蒸気させて、少女は話す。
「私の力じゃもう、どうにもならないから。だから……」
また、少女がかなしそうに目を伏せたとき、
「いやいやいやいや!え、ちょっと待ってっ!まず私が聞きたいのは世界を救うって?」
一体どういうことなのだろうか?この国は大陸丸々一国なのだが、その分広いせいか治安の悪いところもある。そのために、戦争しないのに軍があるのだが……。それでも世界が滅びるなんて聞いたことがない。
せいぜい強盗が入ったとか、空き巣に入られたとかだ。
そういえば、最近の中で一番大きな事件は軍事介入に反対した犯罪組織が、街中の交番とかに遅延術式を組み込んだ魔法をかけるってのだった気がする。結局、軍どころか一般市民に解除されたんだっけ。確か名前はアンチ……
「助けてほしいのは今じゃないんです」
おかしな方向に転がり始めたシュナの思考を彼女の声は現実へ引き戻した。
「助けてほしいのは……」
逡巡して
「未来なんです」
シュナは彼女が何を言っているのかわからなかった。何を言ったのかはわかる。わかるけど──
────どういうことなの?
理解ができなかった。理解したくなかった。まだ小さな子供の頃、御伽噺を信じていたような頃ならすぐに理解できたかもしれない。けれど、
今の技術じゃ時間跳躍なんてでっきこないはずよ!
「ちょっと、待って。未来って時間を越えるってこと?」
その質問に目をぱちくりさせた後、彼女はにっこりと微笑んで、
「私の力を使うの」
「ちから……?」
「そう、私は時を越える能力を持ってるの」
ここで、シュナの中にとあるひとつの言葉が浮かぶ。
「先天性魔法特異者ね?!」
「そういうこと」
彼女は少し寂しそうに目を伏せた。
「さっきも言ったけれど、私の力を感じ取れたあなたなら未来を救うことができる。お願い、未来に行ってくれる?」
そこで、シュナの中にひとつの疑問が生じた。なぜ、自分でやらないのか・・・
「どうして……私なの?あなたの力なら世界の崩壊を止められそうだけれど……」
「私じゃ手出しできないの。呪いがあるから。でも、この時代だけ呪いに縛られていないから」
「どういう……?」
「細かいことは未来に行けばわかるわ」
そういって彼女はにっこりと微笑む。心から微笑む。
「あなたの名前は?私はシュナ」
「ふふ、私はリン」
と、そこで、シュナの元に一本の通信が飛んできた。同じクラスの子が見つかったか聞こうとしたのだろう。だが、彼女はそのまま通信をきる。
「いいの?」
「うん。どうせ見つったかー?とかくだらないことだから」
ひどいね、と少女が言おうと口を開いた瞬間
「ひどいなぁ」
洞窟の入り口から声が聞こえた。
「ぜんぜん連絡無いと思ったら、こんなとこで未来に行く計画立ててるなんて!僕もいきたいーーっ!」
弾かれたように二人は入り口を見やる。
「もう、シュナはこんなとこで道草くってたんだね」
そこにいたのはシュナのクラスメイトの一人、アリュ
ルカだ。
「きい……てたの?」
リンが少し怯えたように尋ねる。
「うん。けど、大丈夫だよ」
どうして、とリンたちは首をかしげた。
「僕もつれってほしいから、かな?」
「え・・・?」
「ええええええええええええ?!!!」
シュナは思わず大声で叫んでしまった。それくらいに突拍子の無いことだったのだ。けど、いつから彼は聞いていたのだろうか?
「別に、構わないけれど……。シュナは?」
「いや、私もいいけど」
「じゃ、今から出発だ!!」
「「はいーーーーー?!!!」」
もう、場のペースはアリュルカに主導権を握られていた。