複雑・ファジー小説
- Re: もしも俺が・・・。 『細かいキャラ設定。』オリキャラなど募集 ( No.396 )
- 日時: 2012/05/01 17:04
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
「パート4。」
「---------では始めようか。私の未知の可能性の推理を・・・!!」
「未知の可能性? なんなんだそれは!?」
目暮警部を含め、ほとんどの人が首をかしげる。コナン君もその内の一人である。
「まず・・・コナン君の推理内での犯人は一応『山田幸子さん』になっている。これは皆様ももう分かったことだろう。
だが・・・毛利さんの推理には『二つ』おかしな点がある。」
-------黒川の本格的な推理が始まった・・・。
「一つ目、その推理だとどうしても山田聡さんにバレてしまうという点。なぜなら、彼は室内で待機していたのだからな。」
「・・・!! そうか!! では共犯ということか!?」
目暮警部の言葉に黒川はゆっくりと首を横に振った。
「残念だがそれはない。それ以前に山田幸子さんが犯人でない理由がはっきりとある。」
黒川の言葉に誰もが驚く。
そんな中、花狩先生だけは気が付いたようだ。
「そうか!! 確か俺たちが悲鳴を聴き、急いで階段を登った先にいたのは・・・」
「そう、我々に4階から悲鳴が聞こえたと教えてくれた山田幸子さんだ。おかしいだろう?」
「だが君、山田さんが急いで降りてきて、君たちと合流したという可能性もあるぞ!?」
目暮警部の言葉にうんうんと頷く人もいた。
だが黒川はまたもや首を横に振り、
「いえ、それはないだろう。そんなに急いできたなら、何よりも息が切れると思いませんか?」
「た・・確かにそうだが・・・。」
「でしょう? そんなに動き回れば息が切れるのも当然です。
ですが、私が見たとき、息はおろか、動いた形跡がないほど落ち着いていました。」
「・・間違いないのかね?」
目暮警部の質問に黒川は首を縦に振る。
そしてもう一度語りだした・・・。
「では誰が犯人なのか? ・・・残念ながらこの事件、あなたたちが体験したことないほど『異例な事件』ではないかと私は考えております。」
言葉が出ない・・・今がまさしくその状況だった。
仮にも名探偵と言われた探偵の推理をくつがえし、ふりだしに戻した男の登場に、目暮警部もコナン君も焦った。
そしてコナン君自身・・・・なぜかワクワクした。
自分の推理を否定してまで乱入した黒川の推理に興味を持ったのだ。
「先ほど毛利さんの推理は97点と言いました。この理由は、『もしも犯人が人間だったらと考えれば、正解に一番近い回答だった。』からなのだ。」
---------この黒川の言葉をすぐに理解できた人間はいなかった。
だが、花狩先生がいち早く気が付き、驚いたように立ち上がった・・・!!
「おい・・・まさか黒川君。犯人というのは・・・・」
花狩先生の驚いた表情に黒川はニヤリと笑って見せた。
「-------------そのまさかだ。この事件の犯人は『人間ではない』。」
その瞬間、その場にいた全員が戸惑った・・・。
「どういうことかね!? まったく意味が分からんぞ!?」
「ええ、私もまだ詳しくは分かりませんよ。ただ、犯人は分かります。」
黒川は一瞬ニヤリと笑った・・・!!
「この事件・・・『一番身動きが取れやすく、なおかつ一人でいた人』が犯人です。」
「なッ・・!! その根拠は!?」
「簡単だ。もしも我々の推理力を試しているのなら、いつでも身動きをとれやすく、なおかつ常に我々の近くにいる必要がある。」
そこまで言うと、黒川は急に首を振った。
「・・・否、『我々』ではない。『俺』を試していたのだろう----------?」
黒川はニヤリと笑いながら、一人の人物を見つめ、言い放った・・・・!!!
「-----------山田聡。いや、『バケモノ』と言ったほうがいいかな?」
その瞬間、そこにいたすべての人が視線をそちらに移す。
だが山田聡は俯いたままだった。
---------否、俯いたまま笑っていたのだ・・・!!!!
「----------合格です、黒川殿。満点です。」
黒川は一瞬ゾクッとした・・・!!
目の前にいるのはただの老人にしか見えないが・・・、何か嫌な雰囲気を漂わせている。
これはまるで・・・ハロンドを目の前にしているようだッ!!!
「貴様ァッ!!!」
黒川は隙を与える間もなく、シャイニングブレイドで老人に切りかかったッ!!!!
「落ち着いてください。私は貴公と争うつもりは毛頭ないのですから・・・。」
そう言うと老人は黒川の攻撃を華麗にすり抜け、窓を割り、外に出て行ったッ・・・!!!
「逃がすか!!!」
黒川、そしてそこにいたすべての人も窓の外でフワフワと浮く『バケモノ』を見つめた・・・。
その姿は、すでに老人の姿ではなかった。
そこにいたのは・・・『人間』には程遠いものであった。
本来頭があるところに、頭ではなく丸い円柱の水槽のようなものがあり、その中には・・・・『脳』が二つ泳いでいる。
身体の色は緑、身長は低く、140cmほどしかなく、上に白いマントのようなものを羽織っている。
「・・・これではっきりしたな。お前もハロンドの仲間だろう?」
黒川の言葉にゆっくりと頷き、
「さよう。私の名はセルダーク。貴公の推理力、頭の柔軟力をはかる為にこの世界に来た。」
「なんでぇー?なんで黒川だけなの?ボクはぁ?」
「・・・紫苑君、少し落ち着こうか。」
紫苑がピョンピョンと跳ねているのを、落ち着かせる花狩先生。
「それにしても、よく分かったものだ。なぜ貴公は私が犯人だと?」
「・・・そこでピョンピョン跳ねている子がいなければ私は分からなかったさ。その子の占いはよく当たるのだ。占いの結果、犯人は『人間でない』という結果が出たのだ。」
----------そう、紫苑の言っていた『分かったけど分からない』とはこういう意味だ。
つまり、紫苑は犯人が『人間ではないこと』は分かったが、『そのバケモノが誰なのか』が分からなかったのだ。
その占いの結果を聞いて、独自に黒川が推理をし、結果『答え』につながった。
「今思えば何もかもおかしかった。どのような推理をしても、かならず矛盾が生じた。だが、バケモノであるお前が全てやったとなれば話はまとまる。」
「・・・素晴らしいです。では、ご褒美として私の能力を一つ明かしてあげましょう。」
「・・・能力?」
黒川達にはセルダークが何を言っているのか理解できなかった・・・が、すぐに意味が分かった。
目の前にいたはずのセルダークが、黒い衣に包まれたかと思うと、黒い衣から現れたのは・・・、
----------私たちがよく知る、『黒川』そのものであったッ・・・!!!
「・・・なるほど。つまりお前の能力は『変身』。違う人物になりきることができるのだな?」
「そういうことだ。声、口調、身体つきを全てコピーできる。明かしたところで貴様らには見抜けないだろうな。」
黒川にとっては変な感覚であった。まるで自分と話しているようで気持ち悪かった。
だが、これではっきりした。
セルダークはいろんな人になりきることで、あの矛盾極まりない犯行を実現させたのだ。
渡辺さんを殺したときは山田幸子さんになりきり、それ以外は聡さんに化けていた・・・こんな感じだろう。
「では山田聡さんはどうしたのだ!? どこにいる!?」
目暮警部は声を荒くして言う。
「もうこの世にはいない。彼の命は私の研究に貢献したのだ。喜ぶべきだろう?」
「ふざけるなッ!!!!!」
---------その一言が黒川に怒りの炎をともした!!
何よりも、まるで自分が言っているかのように聞こえて余計に腹がたったのだ。
黒川は自分の履いている靴の電源を入れた。
皆様には一度教えただろう。ドラクエの世界で使ったエアブーツだ。
彼は宙に浮いている。つまりこのままでは攻撃できない。だから・・・・、
「------おっと、エアブーツだろう? だが残念だ。私はもうこれで失礼させてもらうよ。」
--------くッ・・・知っていたか!!
「ま・・・待て!!」
黒川に化けたセルダークが少しずつ闇に包まれていく・・・。
--------まずいッ・・・逃げられる!!
「逃がすかッ!!!!」
この声は・・・コナン君か!?
コナン君はベルトあたりから一つのボールを出現させたッ・・・!!
そして・・・・・、
「いっけええぇぇ!!!!」
そしてそのボールを光り輝く右足で思いっきり蹴りこんだッ!!!!
そのボールは凄いスピードで一直線にセルダークのもとに向かっていく!!
だが、セルダークのもとにたどり着く前に、ボールは何かに弾かれた・・・!!
「なッ・・・!?」
セルダークが何かしたとは思えない。
まるで見えない壁に阻まれた・・・そんな感じだった。
「良いシュートだったよコナン君。が、私に攻撃することは誰であろうとできない・・・とだけヒントとして言っておこうかな? あ、それと・・・・」
セルダークは黒川の姿のまま二やりと笑い、言い放ったッ・・・!!!
「----------もうすぐ『闇』が 訪れる・・・・。貴公の『光』と私達の『闇』。本当の戦争がもうすぐ始まる。楽しみにしてるといい。」
そう言うと、セルダークは姿を消した・・・。
黒川達は唖然とするしかなかった。
なにせ色々なことが起こりすぎた。整理するのに時間がかかる。
「戦争・・・・?」
ふと黒川はストップウォッチを見た。時間は40分を表していた。
普通ならもうとっくに帰れている時間のハズ。
「私たちの世界に・・・いったい何が起きているというのだ・・・・。」
-------何も謎が解けぬまま、時間だけが過ぎていくことに、黒川は何とも言えない悔しさを感じていた・・・。
-----------第1章、『日常編』完------------