複雑・ファジー小説
- Re: .。○天魔の鎖●.. ( No.21 )
- 日時: 2011/12/12 20:33
- 名前: 汽水 ◆8DOUeLxBGc (ID: D1V3wC8j)
第13話 誰もいない村
全部口に出して言ってからというもの、一言も喋らないままユーモ村に到着した。
ユーモ村は藁や木でできた小屋がぽつりぽつりとあるだけで、他には何もなさそうだ。
人の気配がしない……。
忍者というのは姿を見せず気配もないものだと兄ちゃんから聞いたことがある。
……聞いた時の兄ちゃんとアルスの姿が頭の中によぎり、ふと切なくなった。
「な、なんでこうも人がいないのかな?」
そんな感情をリュウセイに悟られぬよう、必死に抑え、言った。
「気配を消してるんじゃないみたいだな。
元からここには一人もいない。」
「……なんで?」
「知らない。」
その時、道に看板があるのが目についた。
「あ、あれになんか書いてあるかも!!」
私は看板に走って行って、屈んで看板を見た。
[ガーディアン——により——は滅ぼされた。
だが——の襲撃により我らが村は破—された。]
文字がかすれていて所々読めない部分がある。
「肝心な所が読めない!!」
その時、リュウセイがやってきて言った。
「ガーディアン・サムにより妖怪は滅ぼされた。
だが毒姫等の襲撃により我らが村は破壊された。」
リュウセイよ、何でそんなこと知ってるわけ?
「でも……妖怪は分かるけど毒姫って何?」
「……毒大蛇の一族の姫だ。
普段は人間の姿をしているから分からないらしい。」
「毒大蛇……」
『……なんだ?』
「「!!」」
急に声がしたので驚いた。
「だ、誰!?」
「お前等こそ、名乗れ。」
小屋の陰から出てきたのは80歳ぐらいのおばあさんだった。
「わ、私はナナです。
ナナ・アニス……。」
「俺はリュウセイ・ラザーノだ。」
「あ、あのぅ……、」
何か手がかりを聴こうと思って、話しかけた瞬間、
「分かっておる、この村に来る輩は皆、毒姫のことについて訊く。
お前もそうなのだろう?」
「は?
いえ、ちが「隠さんでも分かっておる。」
こうして、ワケの分からない勘違いにより聞かされることになりました。(私断れない性質なの)