複雑・ファジー小説
- Re: .。○天魔の鎖●.. ( No.5 )
- 日時: 2012/05/02 17:48
- 名前: 汽水 ◆8DOUeLxBGc (ID: 1EjfiyJS)
第1話 すべてはここから始まった
「待ってよ兄ちゃん!!」
「ナナー、早く来いよー」
「アルスも早過ぎ!!」
目の前にいると思ったら10m先にいる兄ちゃんとアルス。
この人達、本当に足が速すぎです。
……ああ、自己紹介がまだでしたね。
私はナナ・アニスです。
兄ちゃんとアルスと一緒に森に暮らしています。
「足速ッ!!」
兄ちゃんはチーターだしアルスは50m2秒で走るし……。
こいつ等人間じゃねえよ!!(一匹は本当に人間じゃないしね)
「あったあった……。」
桃がなっている木が高台に一本だけある。
兄ちゃんとアルスと私はそこへ向かっていたのだった。
「ぜぇぜぇ……。」
既に息切れ状態のナナと、平然としている兄ちゃんとアルス。
「大丈夫か?」
「心配するゲホゲホなら……歩け!!」
途中で咳き込みながら言った。
「あはは、ごめんごめん。」
笑いながら謝るアルス。
ああっ、もうっ!!
「お前の大好きな桃だぞー」
「兄ちゃんさっすがー!!」
「「(扱いやす過ぎる件について)」」
私は桃にかぶりついた。
甘い味が口に広がる。
あー、美味しい……。
食べながら自己紹介の続きおば。
私は兄ちゃんやアルスの本当の兄妹ではありません。
昔、命令を受けた私が崖周辺をうろついていた時に偶然拾われたのです。
—回想—
ナナは、7歳だった。
「あー、お前なんか買うんじゃなかった!!」
人身売買なんかで私を買うからだ……。
バシッ バシッ
殴られて蹴られる。
もう既に腕や足は痣だらけだった。
でも、大丈夫。
全然痛くないもの……。
だって私は機械同然だから……。
「サッサと谷に行って例のアレ取ってこいよ!!」
ご主人様が私を怒鳴りつけた。
何で抵抗もしていない私を怒鳴るのだろうか……。
「分かりました。」
お辞儀をし、サッサと谷の方向へ歩き出す。
「なんだアイツ……気味が悪い。」
私は機械だって言ったじゃない……。
だから、言いつけられればなんでもするし、嫌だなんて一言も言わない。
それが私の仕事。
—谷—
例のアレは見つからない。
夜になっても見つからなかった。
「…………」
『おい』
木の上から声がした。
「……誰だよ」
『ルッツ・スリナッチ』
「私はナナ・アニス。
お前はこんな時間にこんな所にいるってことはゴロツキか……。」
「そうだ」
木の上からゴロツキが降りてきた。
輝く黄色の長い髪を降ろした紅い目のチーター。
……野良族だ。
「お前こそこんな時間にこんな所に「言いつけは守る。それがポリシーよ。」
ゴロツキの言葉を遮り、私は言った。
「はあ?」
「持ち主の命令は絶対よ。
例えば人を殺せと言われれば殺すわ。」
「……お前、うちに来ないか?」
何を思ったか突然ゴロツキがそんな事を言い出した。
「いいわよ」
あっさり私が返事をしたのでゴロツキは驚いた。
「そんなあっさりだとは思わなかった。」
「私は誰の手に渡ってもよいのです。
持ち主様。
なんなりとご命令を。」
ナナが急に敬語になり、さらに驚くゴロツキ。
「じゃあ……森にいくぞ。」
「かしこまりました」
森は谷を越えればすぐそこだ。
ナナは谷を飛び越え、ゴロツキの方を向いた。
ゴロツキは驚きのあまりひっくり返ってしまっていたのである。
「こいつ……谷の溝が30mはあるのを軽く……。」
「持ち主様はお飛びになられないのでしょうか。
何なら私がお運びします。」
「い、いや……いい。」
ゴロツキも谷を飛び越えた。
これからの新生活の幕開けだった——……。
—回想終わり—
「何個食ってんだよ!!
もう行くぞ!!」
桃を20個ほど食い散らかしていると、アルスに怒鳴られた。
「まだ食べた「か・え・る・ぞ(怒)」
「はい……。」
アルスが怖すぎておとなしくアルスの言うことを聞くしかないナナだった……。
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ルッツの影が薄すぎる……。
主人公の名前はほとんど『なな』か『ナナ』なのです。
ななって名前気に入ってるんです。