複雑・ファジー小説
- Re: .。○天魔の鎖●.. 参照300突破、ありがとうございます! ( No.53 )
- 日時: 2012/05/02 22:32
- 名前: 汽水 ◆8DOUeLxBGc (ID: 1EjfiyJS)
- 参照: http://mb1.net4u.org/bbs/kakiko01/image/186png.html
第21話 一人
リュウセイと別れた後、リクアへ向かうために林へ入った。
とにかく今は前に進むしかない。
私はリュウセイがいなくてもやっていける。
兄ちゃんたちを見つけなきゃ。
そうだよ、私は初めから一人だったんだ。
「……もう夜になっちゃったな……。」
かなり暗くなってきて、辺りの様子が分かりにくくなっている。
「……灯りつけなきゃ。
明瞭たる光よ、闇夜を照らせ、光明。」
杖の先端に手の平の大きさの光が灯る。
こんな夜でも一人じゃ怖くて眠れない。
だから歩き続ける。
「……きゃあっ」
突然目の前に魔物が現れ、爪で引き裂かれそうになる。
なんとかそれを避け、呪文を詠唱しなければいけない。
魔物は手を休めずどんどん攻撃してくる。
それを避けるためにどんどん後退する。
「……わあっ!!」
杖が弾き飛ばされる。
あれがないと魔法使えないっ……!!
杖の飛ばされた方向に、ほんの一瞬目をやった瞬間。
「痛ッ……。」
油断した。
腕を裂かれ、腕から血が吹き出す。
幸い傷は浅いようだが、それでもかなりの痛みだ。
こ、このままじゃ……死んじゃうよっ。
『シャアアア』
魔物が威嚇したその時、走って杖の方向へむかった。
暗くてどこにあるのか分からない……。
「どこ、どこにあるのっ?」
魔物が後ろにいる。
今にも殺されそうだ。
それなのにっ、それなのにっ。
「あっ」
やっと杖を見つけ、取った。
「……なんとか……なって!!」
後ろを振り向き、焦って詠唱する。
「深海の闇夜に意識よ、身を委ねん、汝に安らぎを、睡眠(スリープ)!!」
目の前まできていた魔物がドサッ と倒れ、眠った。
「……良かった……。」
もう少しで死ぬところだった。
安心したのもつかの間、今度は腕の痛みがくる。
「まだ血が出てる……。」
治癒なんか……使えないよ、私。
不安が襲ってくる。
私はこんな所で一人ぼっち。
ねえ……兄ちゃん、アルス……助けてよ……。
私を一人ぼっちにしないで……。
寂しいよ……!