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複雑・ファジー小説
- Re: 六花は雪とともに ( No.3 )
- 日時: 2011/12/15 21:02
- 名前: 火矢 八重 (ID: wVDXtEbh)
序章 昔話のハジマリ
一つ、昔話をしましょう。
今から千年以上の前の話し。奈良時代の後半——八世紀の頃でしょうね。東大寺という寺が建てられ、盧舎那仏像が出来た後の話しよ。
何? 歴史の話しは嫌ですって? 言っておくけど、勉強の話しではないわ。とある、一つの妖(あやかし)のお話よ。
妖ってなに? ……そうね、人が恐怖を抱かせるモノと言ってよいかしら。人よりも遥かに超常の存在よ。神に近い、とも言っていいわね。
そんな存在はない? ……そうね、貴方達の目には映っていないかもしれない。だから、信じろと言っても、判らないわね。
それなら、おとぎ話を聞いているようにして構わないわ。まるで未知のものを覗くかのように、キラキラした目で、耳を澄ませて、聞いてみて? 退屈させないことは保証するわ。
このお話は、とある雪女のお話。切なく、儚く、それでも意義を貫いた、優しい雪女。
このお話を聞いて、あるいは共感、あるいは反感を持つモノもいるでしょう。どう思うかは貴方達の勝手。でも、これだけは心に居とめておいて。彼女は、どんな結果でも決して不幸ではなかったことを。
あら、私は誰だって? 今更そんなことどうでもいいでしょう?
え? でもどうしても知りたいですって? ……そうね、じゃあ昔話の案内人とでも言っておこうかしら。
さあ、準備は良い? それでは始めるわよ。
世にも儚くて、素敵なお話を……。
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