複雑・ファジー小説

Re: ボクと誓約の翼 ( No.31 )
日時: 2011/12/12 21:42
名前: 元吉 ◆8OHUrY3.ic (ID: PSWXX9Je)




暴風のように襲いかかる緑の光線。

ボクはそれをなんなくかわす。


「また外したか!」
舌打ちを打つセーア。


隙をつき、セーアに蹴りを入れる!


だが、直前でかわされる。

セーアは普通の人間。
ボクは迅速戦法を携えた誓約者。



当然ならば勝負は一瞬で着くが、そうもいかない訳がある。



そこで、博士の言葉を思い返す。

「こやつにはワシの発明品をテスターとして装備させとるのじゃ」

誇らしげに胸を張る博士。

「まず1つ目はこれじゃ」

その言葉に続いてセーアが何やらL字型の物を取り出す。

「これはビームリボルバーという武器なんだ」

ビームリボルバー?
セーアが説明してくれるが、この名前のどの部分も聞いたこともない。


「妖力を固めて発射させて相手にダメージを与えるんだ」



なるほど。
とまではいかないが、大体の意味はわかった。

これが緑の光線の正体だ。

ボクらは当然博士の家で直接、戦っているわけではない。


博士は自分の家の最も広い部屋に光線と同じ色の結界を張った。

ボクとセーアはその中で戦っているのだ。


ビームリボルバーの攻撃が当たるとなかなか痛いダメージになると思う。


何の妖力を使っているのかわからないが、相当な強さだ。
一つわかるのが明らかにセーア自身の物ではない。


「隙アリだよ!」

ふと気が付くとセーアがボクの後ろに回り込んでいた。

「甘い! フロスドライブ!」


未完成の魔方陣で放つフロスドライブは威力こそはゼロだが、盾としてはなかなか強い。


緑の光線はフロスドライブの氷と相殺となった。


そもそも人間であるはずのセーアがどうしてここまでボクの迅速戦法に着いてこれるのか。

これも博士の発明品とやらが絡んでいる。


「二つ目はセーアが身に付けているこのインナーじゃ」

セーアが腕を捲ると黒く少しキツそうなインナーが姿を現す。


「コイツがオレの筋肉に刺激を与えて、増強させてくれるんだ」


その増強のおかげでボクと対等なスピード条件で戦えている。

ただ、これはセーアの体に負担が掛かるため、しばらく使い続けると自動的にオフになるらしい。


「まだまだ行くよ!」
セーアがビームリボルバーをこちらに構える。

「あぁ。負けねーぜ?」

俺もそろそろ本気を出した方が良さそうだ。



緑の光線を放つセーア!
だが、それをかわして瞬時にセーアの後ろに回り込む!

そしてまだ気付いていないセーアを背中に蹴りを入れる!

セーアは一直線に落下し、眼下のヒビ入った床の中央に倒れた。

相当な強さで蹴った。
普通の人間ならもう立つことは出来ないだろう。

俺は着地して様子を見に行く。



「まだだ……!」
セーアは上体を起こし、スッとビームリボルバーを構える。


正直、全く予想外だったので固まってしまった。




「動いたら打つよ?」
セーアは不敵な笑みを浮かべていた。