複雑・ファジー小説

Re: ボクと誓約の翼 {感想お願いします} ( No.7 )
日時: 2011/11/17 16:31
名前: 元吉 ◆8OHUrY3.ic (ID: V89zVUtf)






……今ならまだ間に合う!

ボクは全力で駆ける!

……だが!



「クソッ!」
観光客か知らないけど、大量の人だかりがボクの前に阻む。

故意ではないのだろうが、ものすごく迷惑だ。



必死に人だかりを掻き分けて、やっとの思いで抜け出した………




だが、ボクの目先には大剣が……

とっさのバックステップでなんとか斬撃は免れた。

が、人だかりのうち、何人かはその刃の犠牲となった。


「なんだコイツ? 急に剣を振り回しやがったぞ?」


「ふざけてんのか!」


「治療費よこせ!」



市場が野次に包まれる。


そして、その野次をとばした連中のうちの一人の小柄な男が、大剣を持った大男に近づく。


「おい! なんと言ったらどうなん……」


野次をとばした男の言葉は途中で止まった。



何故なら……




その男の首は既に地面に落ちていた。




あまりの出来事にボクを含む民衆は声が出なかった。

そして、首を失った体は鈍い音をたてて倒れた。



「ヒデイル! 何をやっているんだ!」

大剣を持ったまま動かない大男に相方が喝を入れる。

「ジャ……マ…ヲ……スルナ………」
明らかに様子はおかしい!

ヒデイルと呼ばれたその男は、相方に向けて大剣を振り上げた!


相方はまさかの出来事に動けない。



「………シ…ネ……」

大剣を降り下ろすヒデイル。







相方は無傷。





ボクが間に割って入ったからだ…!


腕を交差させて大剣を防いだ。

当然、誓約者でなければ腕が切断されていたが……

だが、これが仇となる部分もある。



呪術は、誓約者に対しては付加ダメージが付く。

このサイズの大剣なら両手で防げば、そう深くは斬れない。

だが、付加ダメージのせいで、重なった腕の上となった左腕に至ってはいつ千切れても不思議ではないほどだ。

そして、痛みが半端ではない。
呪術の付加効果で……。


「アンタ! この付近の人たちを避難させて!」
ボクは腕の痛みを堪えて、ヒデイルの相方に呼び掛ける!

相方は恐怖で何も言えなかったのか何度かうなずいて避難の先導を始めた。




「………キサ…マ…セイ…ヤ……ク……シャ………」
明らかにヒデイルの目の色が変わった。


呪われた武器というのは、例の集団が誓約者を殲滅しよう作られた武器だ。
それを手にした者は誓約者を殺しにかかる…!



「………コ………ロス……!」
ヒデイルが大剣を振り上げ、襲いかかる!


「起きろ! ハーピィ!」
誓約者が想獣を呼び出すと一度だけ傷が回復する!


それを見越した上でヒデイルと相方に割って入ったのだ。



ヒデイルの斬撃をバックステップでかわす。

そして、腰に差した古びた剣を取り出す!



さぁ……俺の“迅速戦法”を見せてやるよ。


「来いよ」

俺は相手を挑発する姿勢をとった。



「ウォガァァァァ!」
その声は最早唸り声だった!


大剣には似合わない速い斬撃を繰り返してくるヒデイル。


……だが!



「あめぇんだよ!」
俺がヒデイルの背後に回り込んで、古びた剣で斬撃を喰らわす!



「グロァァァァァ!」



獣を狩っているのかと勘違いしてしまいそうなほどの声だった。