複雑・ファジー小説
- Re: ボクと誓約の翼 {感想お願いします} ( No.9 )
- 日時: 2011/11/30 23:15
- 名前: 元吉 ◆8OHUrY3.ic (ID: JOS6d.XR)
「今日のアレは明らかに奴等の仕業よ」
「だよな。だけど逃げられちまった」
「まぁ、あの状況じゃ仕方ないわ」
「流石に呪術を使う相手に他に気を配る余裕はないからねぇ…」
「明日はその店に強行突入してみなさいよ」
「偶然だね。ボクもそれを考えてたよ」
「ディア・フリージア様。 朝食でございます」
今日もまたいつもの言葉で一日が始まる。
「入っていいよ」
体のあちこちに付いていたかすり傷は一晩で回復してた。
まぁほとんど出血してなかったから不思議じゃないんだけどね。
ボクはそんなことを考えながら朝食を摂っていた。
味の事にまで気は回らなかった。
その後、昨日と同じように外へ出て市場を目指す。
昨日あんな事があったというのに市場は人で溢れかえっていた。
全く呑気なもんだ。
例の店の前に着くと、異変に気づく。
店員らしき人はいなく、店に並んでいるのは昨日とは違い、安物の武具だけになっていた。
店員がいないから皆盗っていたのか。
それとも店員が高級な武具を持って逃げたのか。
どちらにしても調べた方が良さそうだ。
ボクは店の脇から裏口侵入を試みた。
が、その木で出来た扉には鍵がかかっており、穏やかな侵入は出来なかった。
「ホントはこんなことしたくないけど…」
腰にさした古びた剣を取り出し、鍵の周りを斬った。
すると、鍵はその場に残ったが、ドアは開いた。
店の中に入るとかなり薄暗くガランとしていた。
「やはり逃げたか…」
ハーピィの言った通り奴等の仕業だったようだ。
普通の人は武器に呪いをかけたりはしない。
「……ん?」
ここでボクは壁にかけてあった剣に気付く。
この剣はなかなかの質だ。
剣を手に取り、その刀身をじっくり見つめる。
材質はわからないが、軽くて鋭い。
特に珍しさはなく、金さえあれば買える代物だが、明らかに今使っている剣より使いやすいはずだ。
「まぁ逃げたんだもんね? 大丈夫だよね」
ボクは自問自答してから、古びた剣を地面に突き刺して謎の金属の剣を腰にさす。
意外な報酬を得たボクはそのまま店を裏口から出た。
…………まさかこんなにも早くこの剣を試す機会が来ようとは。