複雑・ファジー小説

Re: dis 3011 ( No.23 )
日時: 2011/12/24 15:53
名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: 76WtbC5A)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode



   -------もし、願いが叶うなら。
    私はあのヒトに会いたい。
     もう一度だけ、あのヒトに会いたい。
       大切な、あのヒトに………。


「いいわ、叶えてあげる」
 凛とした声が、暗がりのラボに響いた。
 くるくる回るのは、日傘。
 とんと、厚底の靴の音が聞こえた。
「でも、すぐには無理よ」
 揺れるのは、黒いリボンで留められた、巻きくせのついたツインテール。
「少し時間が必要だわ」
 右手の人差し指を頬につけて、首を傾けながら、彼女は口を開く。
「それでもかまわないというのなら、叶えてあげる」
 強い意志を感じる、凛とした声。
「この『女王の眼』の、私が……ねっ♪」
 そして、また周囲を見渡して言う。
「ところで、ここの暗さはどうにかならないのかしら? ホント、辛気臭くてたまんないわ」
 ぶるっと震えて、そして、彼女は部屋を後にした。

 部屋の奥で小さな、声にならない声が言葉を紡ぐ。

   -------ありがとう。