複雑・ファジー小説
- Re: タイトル一時無題とします 第一章【 壊しにいく 】更新開始 ( No.14 )
- 日時: 2011/12/01 16:11
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: FQzo10Uq)
第四話 『全力で泣かせてもらいます』
——ヴゥゥン。
コンピューターの起動音が暗闇に包まれた部屋の中で反響する。
『全システム正常ニ作動中。タダイマヨリ監視プログラムヲ実行イタシマス』
人間に良く似た機械音が、起動音と同じように室内を反響する。プツっと音が鳴ると、暗かった室内に一斉に光が灯された。灯された、というよりは灯ったという表現のほうが正しいかもしれない。暗から明へ移り変わった部屋には二名、“人間”と一言で表していいのかどうか思い悩むような生物が存在していた。
「ナァ。この抜け殻ども、どうする?」
「あ? オレ等の着てた抜け殻なんか食っちまえばいいだろ? どうせコイツ等もこの男と同じ運命になるんだからよ」
そういい、生物たちは後方を見やる。そこには、此の世のものとは思えないほど気持の悪い“物体”が存在していた。元々は骨が有ったのであろうが、今はそのような面影などは一切存在せず、床に無造作に捨てられていた。その近くには誰の物ともいえない骨が散らばっていた。
再度、ヴゥゥント音が鳴ると生物たちの前方に位置している巨大なパソコンのディスプレイ画面に各班のリアルタイムの映像が流れ始めた。班以外にも、各廊下やエレベーター内。フロントなど、この会社の細部までもが一目瞭然といったところであろう。そのため、例外なく閉じ込められたアレックス、驟雨、尊、鈴も映し出されていた。生物たちは、この四人の映像を好奇の眼差しでじっくりと見ていた。中でもパソコンを使いなにかを行っている尊を重点的に。
「オイオイ……。あの男なんか使ってやがるけど、どうする? 危ないんじゃないのか?」
生物の一人が隣にいる生物へ、少し焦りが混じった声色で問いかける。すると、隣の生物は声を押し殺して笑い始めた。生物が笑うたびに、その肩は上下に小刻みに揺れる。
「“危ない”のは、俺たちじゃない。アイツ等の間違いだろう? なんで俺たちが危ないのか意味がわからんわ」
そう言うや否や、今度は声を出して笑い始めた。聞こえるはずのないその声が聞こえたとでも言うように、ジロッと尊がカメラを睨む。勿論、カメラの場所なんてものは四人はわからない。わかっているのは、この二つの生物だけである。
尊の視線がまるで自分に刺ったかのような錯覚にとらわれた生物は、一瞬にして凍りついた。大きく開けていた口を閉じ、皮膚からは冷や汗といえる様なものまでもがあふれ出てきていた。
「オマエ、大丈夫か……? カメラの場所なんかしられてないんだし、大丈夫だって」
生物が生物を励ます。ただ、カメラの場所が知られていない、それは生物もわかっていた。
ただ、それでも画面越しに自分を見られたと思ってしまえば最後。トラウマと成り得た恐怖が頭に刻み込まれてしまっていた。