複雑・ファジー小説
- Re: 鎖解時 第四話更新中 −参照100突破感謝です− ( No.27 )
- 日時: 2011/12/15 22:18
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: FQzo10Uq)
「お前……名前なんてゆーんだよ」
母親が住んでいないという事が判明し、自分の中でも簡単に見つかる訳ではないと言うことは分かっていた。それでも少年は少し体力と気力にダメージを受けていた。
そのときに現れた少年の気楽そうな顔といったら……。尊は少し呆れ気味にため息をついた。
「俺? 俺の名前はアレックスってーんだよ。アレックス=ターナー。この町に住んでるキレイな女の人とか、可愛い女の子とかならマークしてるから住んでるところも分かるぜ?」
家を知っているなど友達や近所の人でなければ唯のストーカーで犯罪じゃないか。こんな奴と母親を探すのか、と考えると尊はさらにげんなりとした様子でため息をつく。
ただ、少年のいうことに嘘偽りが無いとしたら協力した貰うほかないな、と脳をフル回転させて考える。
判断結果は自分ではもうわかっていて、恐らく相手もわかっていた。
「僕の名前は海棠尊。家のじじょーって奴で母さんを探してるんだ。ちなみに歳は十歳」
「はぁっ!? 十歳とかマジか? 俺と五歳も違うじゃん……」
どうやらアレックスは五歳も差があるということに驚いているようだ。
選択肢は三つかな……。
一、とりあえず慰めの声を掛ける。
二、一応謝っておく。
三、無視する。
四、この場から逃げ出す。
RPGゲームのように頭の中にコマンドが現れる。勿論モンスター側がアレックスと名乗る少年で、魔物を倒す勇者が自分だ。
まあ……。此処は無難に三、かな?
「あーあ。なーんか白けるわ……。ま、しゃーないか……。
とりあえず、尊って言ったっけ? 俺ん家こい。着替え貸してやるからさ」
へへっと笑いながら階段を上り始めるアレックスに困惑の視線を数秒向けていた尊は、アレックスが階段で「いてえっ!」と叫んだ事により我に返って、アレックスを追った。