複雑・ファジー小説

Re: 鎖解時 −キャラ募集に関してのお知らせ追加− ( No.39 )
日時: 2012/01/01 16:11
名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: JbVqO821)

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「なーなーアレックス。尊うなされてない?」
「……あ、本当だ。なんか怖い夢でも見てんのかなー」

 うなされている尊を、不思議そうにアレックスと驟雨が見つめる。夢を見て、うなされているのは二人には分かったが、どんな夢を見てうなされているのかは、二人には分かりもしないことだった。

「………。尊起こすついでにエレベーター開けるぞ」
「尊がシステムデータ直したんじゃないのか?」

 エレベーターの隅で座っていた鈴が徐に口を開く。確かに尊は「システムデータを塗り替えた」と言っていた。けど、システムデータを塗り替えたからと言って扉が開くように修正をかけたと言い切ることはできないとアレックスは思っていた。もし、塗り替えたとしてもそれは違うところのデータだとしたら、尊が起きても時間がいくら経ってもエレベーター内から出ることが出来なかったりする可能性がある。

「まぁ、気にすんなー。あと、少し臭くなるけど許してくれな」

 アレックスはエレベーターの天井を確認すると、少し口角を上げて笑った。この会社のエレベーターには何時何があっても自分の部隊に戻らなくてはいけないときが存在する。主には外部生物が迫ってきたときなどだが、中にはエレベーターに閉じ込められている状態で教われて命を落とす社員もいる。そのため"煙を感知して扉を開ける"機械が技巧班で作られた。その機械が会社内全てのエレベーターに設置されている。

「はぁ……。こんなところで吸いたくないんだけどな……。煙必要とかありえねぇ」

 煙草を銜え内ポケットに入っているライターを取り出す。カチッ、カチッと音を立てながら火をつける。赤みの中に含まれた暖かいオレンジ色の光でアレックスの周りは包まれた。いつの間にか外は、オレンジ色の空に暗闇がちりばめられた美しい景色に変わっていた。