複雑・ファジー小説
- Re: 鎖解時 −オリキャラ募集なうっ− ( No.41 )
- 日時: 2012/01/05 09:06
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: JbVqO821)
第九話 『 』
ライターから出る火を、煙草の先端へと近づける。その様子をまじまじと驟雨、鈴が見ていた。煙草に火をつけるだけで俺は注目されるのか……、と思いながら火を煙草につける。ライターの火を消すと、微かにボウッと煙草が赤く色づいた。でも、それはほんの一瞬で次の瞬間には煙が出ていた。
「アエックスー、くはいんらけど!」
「驟雨と同じく臭いんだが……」
「すぐ消すから、我慢してくれ」
煙草の先から出る副流煙が部屋の中間あたりに溜まり、ちょうど驟雨の身長だと鼻の上あたり、鈴の身長だと顎の下辺りに溜まっていたため鼻で息をすると必ず煙を吸ってしまうようだった。眠っている尊のほうまでは煙はいかないらしく、相変わらずうなされていた。
「お前ら、耳塞いでろよー」
鈴と驟雨をチラッと見て、天井に設置されている機器を見つめる。円柱状の機器は、正常に作動している証拠である緑色のランプが一定のリズムで点滅していた。その横にはセンサーのようなものがついていた。そこにアレックスは口の中に溜まっていた煙を吹きつけた。驟雨と鈴が心配そうにアレックスと、機械を見つめる。アレックスも正常に作動してくれるかどうか心配そうに機械を見つめていた。
数秒後、ピッピッピッピ、と正常に機械が作動している時には鳴るはずの無い音がエレベーター内を包んだ。最初は小さかった音が十秒刻みにだんだん大きな音へと変わっていく。
『緊急ジタイ、緊急 ジタイ。危険物ガ確認サレ、マシタ。危険物ガ確認サレ、マシタ。タダチニココカラ、撤退ヲ、スルヨウニ』
エレベーター内につけられていたスピーカーから機械音が流れる。それもデータ塗り替えが終わっていないせいか、プツプツと音が切れた音声だった。音声が切れると、電車のようにプシューと音を立ててエレベーターの扉が開く。約二時間ぶりに見た、会社の廊下は何故か赤く染まっていた。