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複雑・ファジー小説
- Cruel:5 ( No.12 )
- 日時: 2011/12/01 17:14
- 名前: うにょ (ID: qpE3t3oj)
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「勇人…っ、もうすぐ、彼女の部屋だ!っ」
俺に視線一つ寄越さず、顔は前に向けたままそう言う先輩。
この階のこの先にはたった一つだけ、他の病室とは離れている個室があったはず。
(…相当厄介な病気みたいだな)
———その個室に入るのは、いつ死んでもおかしくないような患者だけだ。
「…っここだ!」
———ドアに先輩が手をかけたと同時に、中から声がした。
『…っ、はぁ……はっ……——パ…パ、っマ、マ…っ!』
“パパ”“ママ”
とても、哀しげな響きだった。
「っ…伊崎さん!?」
たしかに、ドアの横にあるカードには“伊崎 己織様”と書いてある。
ガラッ、と勢いよくドアが開いた。
「…っはぁ…はっ…」
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