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複雑・ファジー小説
- プロローグ ( No.17 )
- 日時: 2011/12/03 21:44
- 名前: うにょ (ID: qpE3t3oj)
「…悪かった」
———バカ。
どうして、あなたが謝ってんのよ。
「俺のせいで、あんたもう、」
「分かったから」
だから、その先を口にしないで。
「本当にすまないことをした」
男は深く頭を下げて、その後しばらくしてようやく顔を上げた。
「もう二度とあんたには会わないよ」
「当然でしょ」
私にだって非はある。
だから、あなただけが悪いわけじゃないのよ?
「…あなたがいくら謝ったところで、過ぎてしまったことは元に戻るわけじゃないわ。もうその腐った面、見せないでちょうだい。二度とね」
ああ、ごめんなさいごめんなさい。
本当は“私だって”ではなく、“私が”悪いのに。
「…本当に、すまない」
どうして私は。
どうして私は彼を責めることが出来よう?
「…ごめんなさい。勇人」
ああ、悪いのは私。
なのに、関係のないあなたまで私の だからというせいで嫌な思いをさせることになってしまった。
これは、私がつけるべき落とし前。
———ここを、去ろう。
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