複雑・ファジー小説

Far:7 1/2 ( No.25 )
日時: 2011/12/10 08:59
名前: うにょ (ID: qpE3t3oj)


そんな顔しないでよ。




不安になるよ。嫌な予感がするの。









「…私、何か変なこと言っちゃったかな?」



「いや、別に。己織は悪くない。ただ、ちょっと…な」





そう言って笑う勇人を見れば、一目でそれが作り笑いだと分かる。



無理矢理作られたそれが、とても痛々しく感じた。








「…あ、己織」



「何?」




そんな表情が何かを思い出したかのように一変して、彼が私を見る。





「…携帯の番号とメアド、教えてくれないか?」



「…え?」








さっきの勇人はどこへ?





あの状態からのこの変わりっぷりに、私は一瞬唖然とした。









「せっかく仲良くなったんだし」



「…あ、ああ、そうだね」




私はベッドのすぐ横にある引き出しを開いて、淡い青の携帯を取り出した。



Far:7 2/2 ( No.26 )
日時: 2011/12/10 09:25
名前: うにょ (ID: qpE3t3oj)


「青?」



「うん。この色好きなの」



「…似合ってる。己織のイメージにぴったりだな」



「…っ!」








勇人って、意外と天然なところがあったりするのかな?



そういうことは、女の子には褒め言葉以外のなんでもない。





現に私、顔赤くなっちゃってるだろうし。









…でも、きっと計算なんてなくて。




ありのままの言葉なんだろうな、っていうことは勇人の目を見ればすぐに分かる。










「…っよし。送信っと」



ピッ、と音が鳴る。





ディスプレイには《受信完了》と映し出される。











「ちゃんと携帯見とけよ?…己織はメールきた時、気付かなさそうだから」



「何それ。なんかヒドイ」



「思ったことを言っただけだ」










ああ。




こういう時の、彼の優げな表情が好きだ。





すごく安心できるから。