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複雑・ファジー小説
- Far:3 ( No.5 )
- 日時: 2011/11/28 00:54
- 名前: うにょ (ID: qpE3t3oj)
「…せ、んせ…——?」
「……っ?!」
嘘だ。
まだ手術が終わって3時間と経っていない。
強い効力の麻酔をしたから、あと半日は起きないはずなのに…!!
「…“宣告”、って…。ナニ」
そんな僕の思考に反比例して、ゆっくりと開いていく彼女の目蓋。
現れたその瞳は、手術のせいで潤いきっていた。
「ねぇ。…こた、えて」
「……」
いつから聞かれていた?
まずい。
あいつ…薫がこんな所で、いくら手術が終わって間もないとはいえ、あんなことを言ってしまった。
自分の不注意にも非はあるが、あれをもし聞かれていたとしたら……、この子は———。
「大丈夫。“彼女の現状を考えれば、そうするしか策はない”ってところからしか聞いてない」
「!」
心を、読まれた?
「今ね?先生、『まずい』って顔してる」
「……」
どうしようか。
動揺を、隠せない。
「ねぇ、教えてよ」
彼女はこうは言っているが、もしかしたら本当はその前の会話も聞かれていたかもしれない。
どうしようか。
“焦り”という余計な感情が僕の思考の邪魔をする。
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