複雑・ファジー小説

Cruel:2 1/2 ( No.8 )
日時: 2011/11/28 17:39
名前: うにょ (ID: qpE3t3oj)





「……」




確かに。






言われてみれば、先輩の顔色はあまりかんばしくない。


どうして今まで気付かなかったのだろう。





両目の下には、最後に会ったときにはなかったくまがあった。





「その患者さんって、性別は?」



「んー?女の子だよ。たしか、勇人と同い年」



「…同い年?じゃあ、同じ大学?」



「ううん。彼女、幼少のときから身体が弱かったらしくて。大学には通ってないよ」



「そうですか」






大変なんだな、と他人行儀なことを思う。


…まあ、知らない女なのだから、当然か。

Cruel:2 2/2 ( No.9 )
日時: 2011/11/28 17:38
名前: うにょ (ID: qpE3t3oj)



「……彼女さ、本当、美人なんだよ」



「え?」





突然そんなことを言い出す先輩を横目で捕らえれば、その表情はなんだか愛しげで、それでいて悲しみが含まれていた。





「病気なんてわずらってなかったら、それで彼女が大学に通ってたら。きっと僕、彼女に出会った瞬間告白してたんだろうね」



「……先輩?」





自嘲気味に笑う先輩が、とても心細そうに見えた。




…ああ、先輩はその人のことが好きなんだ。と、一目で分かった。





「———ごめん。柄にもないこと言っちゃった」



「……」





こういうとき、俺は何て言えばいい?



気の利かない俺は、それが分からなくて黙り込む。
















…けど、そんなとき



唐突に、先輩の携帯が激しくバイブした。