複雑・ファジー小説
- Re: 罪とDessert Eagle ( No.144 )
- 日時: 2012/01/10 21:01
- 名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
第二幕「闇の医者編」
第一章「力のない正義は無力であり、正義のない力は暴力である (パスカル)」
第一話「暗闇の始まり」
例によってまたどこかの暗い会議室。会議室は、国際連合の総会の場と同じ形だった。そこに座っているのは首相ではなく国家特殊公安官候補生だった。
「我が人間たちを呼んだのは理由がある」
一段高い椅子に座っている【賢人】佐久穂轍が唐突に話し始めた。
「「「「「「「?」」」」」」
他の六人は一斉に轍の方へ向いた。なんども言うが彼らの顔や服装はまったくみえない。
「我らChair Persons は闇の医者討伐へ関与しないことにする」
轍は重々しく言い放った。
その雰囲気はすぐ破れた
「なぜですか! 僕は関与すると思っていました!」
「俺も、火力を多くしてぶっつぶすと思っています!」
桜策士と十勝臨だった。彼らの声からは怒りと戸惑いが現れていた。
「ま、座れ。我だってちゃんとした理由がある」
策士と臨はゆっくりと椅子に深く座り込んだ。二人以外に話している人はいなかった。ただ、静かに観て聴いているだけだった。
「まず、我々は【人々には知られてはいけない組織】である。それは何万年も変わらないだろう」
六人はうなずいた。轍らの能力は世間に知れ渡ると人命に関する問題になるからだ。
「そして、今出動できるのは候補生だけだということを忘れるな。まだ不法入国した『完負』のメンバーも見つかっていない、また最近犯罪が多発しているため現職は忙しい。」
「それがどういう問題になるのでしょうか?」
ワンピース女が立ち上がった。その言葉からは一応念のためという意味がこもっていた
「候補生だけでは、【完全敗北】するということだ。相手はとても手ごわいテロリスト、そうは倒せないだろう。」
「……わかりました」
「一応、高単価で募集はするけど。そいつらが死ぬ前に我が取り戻せばよい」
そう笑うと轍は座った。彼の言葉には【候補生】を馬鹿にする毒が付いていた
「わかったか? 人間どもよ、では採決を行う。我々が介入しないことに賛成な者は起立せよ」
一斉に六人は立ち上がった。椅子が引かれる音だけが会議室に鳴り響いた。
「では、解散とする。風邪をひかないように」
轍は会議室を出て行った。六人はその場から動かなかった。会議室の暗闇に六人の静けさが積み重なり見た人は叫ぶだろう。
それぞれが手に力を込めて————