複雑・ファジー小説
- Re: 罪とDesert Eagle 【自信作SS更新】 ( No.241 )
- 日時: 2012/02/18 19:14
- 名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
- 参照: 続き
>>240
「うるさいだと? それは悪かった。私に気づかれないように喋ったみたいだが、実は私も韓国語がわかるのだよ」
ギルは気分が悪くなる笑いを止めると謝ってきた。静かに日本語をしゃべった。僕は悪口を見抜かれて後悔よりも驚愕していた。悪口を見抜かれたのはこれが初めてだ
「私は、英語と日本語、韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語などいろんな言語を知っていて普通に使える。」
「君はいったい何のかな…… 普通の会社員じゃないだろ」
「会社員とはだれも言っていない。そうだね……お前ぐらい面白い人間はいないから私のニックネームを教えてやろう。
私のニックネームは
【天災と天才】
と言っていいだろう。 もちろんギルは偽名だ。私の本名は【シュリ】。」
静かに地球滅亡を待っている男という人間と認識した。ギル……いやシュリはいったいどんな仕事についているのだろうか……とても気になる。
シュリは静かに東さんの口からアーモンド臭をもう一度確かめると、座席の方へ向かった。さっきまで僕のことを見ていた乗客はそれぞれ好きなことをして空港までの暇つぶしをしていた。
「OK…… La causa di forza maggiore disse di essere una mossa di genios……」(さぁ…… 天才と言われた天災が動きますよ……)
シュリはイタリア語でつぶやくと座席へ向かった。だれにもわからないようにイタリア語で喋っただろうけど残念ながら僕はイタリア語を知っている。親が英語の塾にいれようとして満員で入れず、不運だがイタリア語を習いそれでも英語の塾が満席で中国語を習った。だから英語塾の席が空くまでいろんな語学を学んでいる。だから彼と同様いろんな言語知っている。ほんと僕は不運で不幸だ……
「おかしいな…… 青酸カリウムは即死という訳ではなく最大15分は生きることが出来る…… なのに【ダイイングメッセージが無い】」
座席を探してもまったく変わっていない座席を見て、シュリは考え込んだ。10分間静かに目をつぶっていたが突然溜息をついた。
「【ダイイングメッセージは無い】これがダイイングメッセージだ。私には謎が解けた。お前も静かに眠るといい……【お前は絶対に無実だ】」
シュリはウインクをすると名刺を手裏剣のように僕に渡し、優雅にビジネスへ戻って行った。何故シュリにはわかったのだろうか……もうすこし探ろう。そして東さんのために犯人を見つけてやる!!
気合を入れなおして席を立つと通路を挟んだ左側の席の20代の日本人女性が腕をつかんだ。長く伸ばした黒い髪で薄化粧の美人だった。
「会長のために静かに眠ってください」
その声はさっきの男の声だった。この女、いや男なのかもしれないがそんなことどうでもいい! 犯人を見つけたのだから!
腕をつかみ高々に犯人を捕まえたと言おうとしたとたん、眠気に襲われた。
視界が歪み、頭痛が始まる。睡魔に苦しみながら後ろを向くと注射針を持った【シュリ】だった……
「……シュリ! 何故君は!」
「東さんの為だよ。頼む……お前と私の為に眠ってくれ」
————ほんと僕は【赤毛】だ。