複雑・ファジー小説

Re: 罪とDesert Eagle 【第一階戦一部更新!!】 ( No.283 )
日時: 2012/03/13 20:23
名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)

第一階戦 『立菊和馬&鹿村兎月 VS 水納厄』

「ちゃんと二人とも立っているね。」
水納はすこし微笑みながら二人の顔を見た。それに対照的に立菊と鹿村の顔は強張っており、水納というabnormal(アブノーマル)にすこし怖がっていた。
「言っとくが、俺様はお前を殺して悪の道へ登りつめたいところだ。すぐにどこかへ消えたら見なかったことにする」
立菊は強張っている顔を無理に動かして水納に忠告した。立菊は『自分が世界の悪の頂点に上る』ことが夢だ。だからテロリストを消して自分の悪を上げる。「殺す」という言葉に鹿村は正直怯えていた。
————このスーツの人…… 殺すことを何も思っていない!!————
 鹿村は保健会だ。だから、さまざまな死を画像で見ている。彼女は普通ではありえないほどの殺気を感じていた。
「別に消えるつもりはないよ。ここが僕の家なんだから」
水納は気にしないように傍の机に座るとゆっくりと背を伸ばした。別に俺様らを騙すために伸ばしているわけではなさそうだな。ごく普通の筋肉の伸び縮みに感動している顔だ。静かに右手の袖に隠してあるナイフを手の中に忍び込ませる。まだ、あの能力を使うことは早いだろう……静かに殺す。
「さて、僕は早くyouを殺して受付嬢として報告しなくちゃいけない」
水納が地面の重力に引かれたように、だれも不思議に思わないほど普通に腕の力を抜いた。その瞬間

ピン!

笑顔で地面を張っていたピアノ線を切ったのを見逃さなかった。そのピアノ線は何処につながっているかはもう知っている。
左手にH&K USPと右手にナイフを持ち、後ろから襲ってきた針を弾いた。
「鹿村。武器を構えろ」
「はい!? なんで!?」
いきなり武器を持てと言われたら誰だって慌てるだろう。でもここの部屋は諜報科潜入会の俺様には【トラップ仕掛けいっぱいのおもちゃ箱】に見えるんだよ!!
 天井から爆音が聞こえてきた。どうやら、他の仲間も戦い始めたらしい。
「そういえば、なんで私が前線なの!? なんで少人数? なんで、こいつ!」
こいつとはなんだ!! おめぇから殺すぞ!
▼鹿村はなにかを唱えた 
「先手必勝……先手必勝……」
▼唱え終わるとグロック17を手に持ち水納に向けて発砲した。
————大体の未熟者はすぐに発砲する。怖いんだろうな……————
立菊は静かに過去、暴力装置に鍛えられた日々を思い出していた。
「駄目に決まっているじゃないですか。そんな攻撃。」
弾丸は水納の1メートル先で壁にぶつかったように落ちた。やはり、能力者か?カウンター系の能力じゃなくて良かった……
「な……なんで! なんで当たらない!」
相当パニックのご様子だな、鹿村。厚木先生が泣くぞ? いや、あの人なら怒るか殺すかだからな……とにかく病院に行くのは間違いない。
「youはそれでも特殊公安官? そのビビりさはハンパないね」
360°どの方向から見ても俺様たち……いや鹿村が馬鹿にされているな。決して俺様は馬鹿にされていない!
 心を鉄骨で補強しながら水納の顔を見た。顔の筋肉は横にのびて口は大きく開いているのを手で隠している。こいつどう見ても大爆笑しているな。
「ま、安らかに眠りたまえ」
水納は両手で細い注射器を握り、投げてきた。矢のように飛んできたそれは、真っ直ぐ飛んできた。
「そう簡単に眠れるか!」
すぐさまパニック状態の奈良鹿を掴んで右方向へ飛んだ。スライディーグ……セーフ。
注射器は俺様が立っていたところの壁にグサリと深く刺さっているご様子。向こうの攻撃がこっちには届くのに————

パン、パン、パン、パン

「当たれや! ごらぁ!!」
鹿村の攻撃は当たらないのか?鹿村よ、そろそろリロードが必要だぞ。
とにかく銃を撃ちまくっている鹿村を左目に捉えながら、銃弾がどうなっているかを見てみる。地面と水平に飛んでいる銃弾は水納の約1メートル前で壁に弾かれたように落ちた。水納の能力は、攻撃を防ぐ能力だろう。つまり、物理攻撃しかない。力で押し切るのみ!!
「鹿村! しっかりしろ! 俺様がすぐに終わらせてやる」
「いい度胸だね」
立ち上がった俺様の体にボウガンの矢が飛んできた。もちろん、水納の手にはボウガンなんて持ってはいない。
「よいしょ。どうせ、ここはトラップばっかりなんだろ?」
右手に重心をのせ逆立ちの状態で躱した。ボウガンの矢は体を掠めて後ろの壁へグサグサと刺さっている。うん、当たっていたら貫通だったな。
「さすが! こうじゃなくっちゃつまらないじゃん」
水納が机から飛び降りると壁、待合席、スタンドetcが————

「ま、地の利は僕にかなっているという訳で。Youがどれだけ耐えられるか楽しみだな」
壁には刀が飛び出ているし、ソファの裏からボウガンが見えているし、スタンドにスタンガンを置いてある。右手の力を緩めながら、さっきまで立っていた場所へ宙返りをした。
 鹿村、本当に悪かった。俺様のミスだ。そう簡単に倒せそうもない。
————おもちゃ箱じゃない! ここは玩具製造工場並みにトラップが多すぎる!!————
                                  (続く)