複雑・ファジー小説

Re: 罪とDesert Eagle 【5月25日part5更新。】 ( No.329 )
日時: 2012/05/29 22:01
名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)

第三回戦「十勝望トカチノゾム日暮里雅明ヒグレザトマサアキVS有鳥遊アリトリアソビ

実に不愉快だ——となんど思ったことだろうか。こっちはメロス並みに速く走っているはずなのに追いつかない。確かに【怪我をしまくっている俺が完全健康体の敵を追っていることが謎でしょうがない】。少しばかり時間を遡ってみることにしよう。

3分前—————

雅明と俺は一人の全身タイツ女と向き合っていた。どちらも動かない……ま、敵がどんな能力かわからないのに手を出す奴はなかなかいないっしょ。そんな緊迫した中
「逃げていいですか? 許してください」
あの女戯言吐いたぞ?
「「はい!?」」
「失礼します。私、有鳥遊のことは今日まで忘れないでくださいね……」
そういうと女、有鳥は全力疾走で逃げ始めたんだよな。
「おい! 待て! 雅明!」
日暮里雅明の能力は「物質造り(アッシャーメーカー)……原子を集めて物を作る能力」。つまり
「もうやってある!」
廊下を走っている有鳥の前に壁ができつつあった。雅明が両手をついているところからしてどこかの漫画でも意識しているんだろうな。
「許してください!!」
叫ぶと有鳥は跳んだ。スルリと棒高跳びのように隙間を通ると壁越しに着地する音が聞こえた。
「壊していいか。有鳥が逃げるから急がなければならん」
「僕は先回りをしよう。その壁は脆いから触れれば壊れる」
いつの間にかにスケーボーに足をかけている雅明に少しばかり呆れた。こいつはいつも大雑把すぎる。
 タイヤの音が遠くなっていくのを聞いて壁を蹴とばした。
「きゃ! 許して!」
▼目の前に走ってくる有鳥が現れた。
「止まれ!!」
▼スケートボードに乗った雅明が現れた。
「すみません!」
▼俺の頭を踏み台に有鳥は奥へと進んでいった
「!! お、おい待て!」
「危なねえぞ!!」
▼雅明のスケートボードの前輪が俺の頭に直撃した。


「ごめんな。あいつ、この辺グルグル回っているからすぐにとっ捕まえてくれ!! じゃあな」
「…………」

こうして、有鳥が撒いたと思われるまきびしなどで負傷し続けた三分間が立ったわけだ。

「望。あいつすばしっこいな。面倒だから見逃さないか?」
同じく息が上がっている雅明。服のあちらこちらが傷ついており、苦労した顔つきだった。
「いいか!? 見逃したってばれたら轍に説教される。一応、階段ふさいだよな?」
「ああ。しっかり内部構造も考えて壁を作っておいた。鉄が主な成分で、中にちょこちょこと「もう、しゃべらなくていい」
雅明は一度自分が作ったものの説明をし始めると止まらないからな。そんな時間があったらC4作っている。
「さて、有鳥についてどう思う? 俺としてはまるでネズミみたいなのだが……」
「確かに、全方位攻撃も躱すからな……あいつの能力は肉体強化じゃないのか? そこまで筋肉なさそうだし、予測しているのかな」
「ま、そう仮定して追い詰めるか」
「了解」
俺たちはもう一度気合を入れて鬼ごっこをし始めた。