複雑・ファジー小説

Re: 罪とDesert Eagle 【オリキャラ募集】 ( No.62 )
日時: 2011/12/21 19:35
名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)

第六話「中盤戦(ハード・タイム)」

————アグスタウェストランド AW10を躱して【真空波】がどっかへ飛んで行った。

『真空波が僕らを躱したのか?』
イヤホンから聞こえてくる声は戸惑いを表していた。普通【真空波は曲がることがない】からな……。超常現象か!?
「……俺は何を見たのだろうか。」
「あのヘリすごいね。真空波を曲げるなんて私初めて見た!」
お前ら吹っ飛んだ割には無傷だな。
『あの馬鹿がテストで50点取った時よりは驚かなかったな……』
社、後で殴ってやる。60点ぐらい取れるさ、まだまだ甘いぜ。
『どうせ150点中だろ』
落ち着け今は任務中だ。決してヘリを落としてはいけない。うんうん、危ないことはよそう。
「良かった。落ちなくて……」
1人だけ真空波を気にしていない人がいた。目をつぶって何かつぶやいていた神奈だった。
「私ね、祈っていたの! そしたら真空波が避けたの!」
神様、こいつの脳味噌をどうにかしてください。あいつ(社)の命を代償にしますから。
「まったく、お主らは餓鬼だと思っていたのが駄目だったようだな。」
五郎はそういうと俺らの方へ歩き出した。これはチャンスだ!
『連携攻撃をしろ。パート1だよ。』
翆蘭が水を操ってのんびり歩いていた五郎を止めた。そこに灯が【超近接距離】からナックルで割れている腹筋を殴り、俺がデザート・イーグルで近くから右腕を撃った。五郎は苦しそうに左手で撫でながら一瞬にして俺に向かって強烈な拳を振るった。
「くっ……」
防弾チョッキの表面が鋭い刃で切られたように傷跡ができた。何とか攻撃は身体には及ばなかったようだ。他の二人も同じ状態になっていた——いや違った。
「……くそっ。あいつ殴り飛ばしてやる!」
「神奈さん! 灯君が怪我です」
頬を赤く染めた灯が翆蘭に支えられている。まさか、ここで人材を失うのはきついな。
『狼竜五郎! お前はほんと馬鹿だな。戦いたければスラムでも海でもいけやボケ!!』
策士の声が聞こえてくる……? イヤホンからじゃない。ヘリのスピーカーからだ! いつも冷静な策士が興奮しているのか。こんなこと稀だな、後で録音してファンにでも売ってやるか。
「ほお、言ってくれるな…… じゃ俺をやっつけてからそんなこと言うんだな!」
眼では見えなかったが、これは【やばい】。すぐに匍匐前進をする態勢になった。
『伏せろ! 乱れ打ちが来る。』
俺らの上を真空波が通って行った。しかし、完全には躱すことができず三人ともどこかには切り傷がある状態になった。
血が多く出ている灯は大丈夫なのだろうか……
「アイツを殴って、吊るしてやる……」
自分の血を見た灯がいきなり立って走り出した。ナックルだけでうまくいくか! 戻れ! 
「餓鬼! 死にたいか!」
五郎は俺の目では動かず攻撃した。灯は————
「吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、」
奇妙なダンスをしながら対象に向かって走っていた。いや、あれはダンスじゃない。【真空波を躱しているのだ】
「吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす、吊るす!」
高く跳ね上がり垂直に五郎の頭に拳を叩きこんだ。
『パイロット! すぐに上空へ、能力発動だから危険だ。地上チームも気をつけろ!』
落ち着いた策士の声が聞こえてきた。何故上空へ上がる必要がある?
この疑問はすぐに分かった。【五郎を中心に突風が起こった】。多分風速20メートルは行くだろう。あいつ能力者だったのか!
「お主、やるじゃねぇか。お礼を差し上げよう」
頭が血まみれの五郎は灯の胸倉をつかんで鉄骨の方へ投げた! 灯が危ない!
「私の水では間に合わない! 誰か助けてやって!」
助けたいのはやまやまだが助けられない……
灯はふっとび【奇跡的に鉄骨のない場所に落ちた】。そばではまともや【祈っている神奈の姿があった】
「お前、俺のチームメートに手を出したな」
「五郎、私たちはあなたを逮捕します」
怒ったぜ! 灯のかたき取ってやる!
翆蘭は長剣を握り、俺は日本刀を持って五郎に切りかかった。俺らは般若の顔をしているだろう。

         さぁ、どうなる?