複雑・ファジー小説
- 第8章 やるきの差と秘密 ( No.48 )
- 日時: 2012/05/11 21:58
- 名前: 緋賀アリス (ID: 35AN48Qe)
「すんなり仲間になってくれたならよかったですぅ」
まぁ話し相手になるから構わないがほぼ毎日うちに来て黒豆煎餅を何枚も食べていくことに関して遠慮を感じないのだろうかこいつは。
「そんな事言われたって、今まで時間が被って見れなかったドラマが見れるなんて嬉しい事ないですぅ。」
あぁそういえばドラマもここで何本か見ていくんだマチルダは。
「っていうか今日お腹空いたから早めに夕飯にするんだけど、よかったら食べてく?」
「え?いいのですぅ?」
「別に大したものじゃなければ…」
ケータイが鳴る。音からしてメールだ。もしや!
やっぱり翔子さんからだった。
翔子
翁梶通りの靴屋の前に集合。至急。
ドンピシャじゃないか。早速共闘同盟の初仕事か。よし!やってやろうじゃないの。
「今日は私もついてくですぅ。」
「よぉしじゃあ張り切って行こう!!」
再度ケータイがなる。何だ何だ追加情報か何かか?ん?梓からだ。
梓
すいません。今夕飯なんで抜けられません。
うおおあぁおあぁおおおぁおあぁおお梓あぁあぁお前夕飯>共闘同盟かよぉぉぉあぁ
叫んでる間にもまたケータイがなる。翔子さんのお叱りメールかな?さぁガツンと梓に言ってやってくれ!
茉莉
スマソ。彼氏といるからムリ(テヘペロ
ウワァァァァウホォォうおおあぁおあぁおあぁおあぁおあぁおあぁおあぁおあぁおあぁなんでみんなしてこんなヤル気ねぇんだよ。ってか茉莉にも彼氏(爆)(笑)いたのかよぉ
ぉぉあぁ!!!!自然とケータイを握りしめる手がキツくなる。
「落ち着くですぅ蒼乃!彼氏なんて都市伝説ですぅ。」
「そ、そうよね。さぁ速く行かなくては。」
家の門を開けると見慣れない自転車が置いてあった。ってか何この10年前のファンシーアイテム、小さな羽とか付いてるし。
「これはですねぇ、蒼乃の自転車を魔法で改造したのをさらに改良を重ねたものですぅ。」
「いややめてよ(/´△`\)」
一応あの爆走自転車はトラウマなんだから。
「まあまあそう言わずに、かなり改良しましたから、絶対大丈夫ですぅ。これ乗って翁梶通りまで行くですぅ。」
そこまで言うなら……10年前のファンシーアイテムみたいな自転車に腰かける。後ろのチャイルドシート的なのにマチルダが乗った。ペダルをゆっくりと踏み込む。
マチルダ……殺す
案の定滅茶苦茶速いじゃないか。あヤバイ、マチルダ処刑決定。最悪。
「ブ、ブレーキを使うですぅ。前はずっと速いだけでしたが今度はブレーキで速度調節出来るようにしたですぅ。」
気絶しそうになりながらブレーキを握ると徐々に速度が落ちていく。(それでも速いが)何とか喋れそうだ。
「この時間じゃ翁梶通りに人が沢山いると思うんだけど。魔法使っちゃっていいの?」
「多分魔女が隔離結界か昏睡結界かを出してるですぅ。前者なら現実世界から隔離されますし、後者なら魔力に耐性がない一般人は昏睡してしまうですぅ。今まで戦ってた魔女は夜の学校とか回りに人がいない所に居ましたから気づかなかっただけで皆結界は張ってるですぅ。」
へぇそりゃ初耳。こんな自転車で走ってる所をあんまり他人に見られたくないので、できるだけ裏口を使って翁梶通りまで向かう。
「うわっ何これ!」
曲がり角を曲がると通行人が立ったまま硬直している。成る程、これが昏睡結界……これで一般人の前で魔法を使わなくて済むわけね。そのまま勝手に走る自転車をブレーキで減速させながら走っていると呪人化した翔子と優がいたのでブレーキを思い切り握って自転車を止めた。
「あらまさか沢城さんが来るなんて、てっきり無断欠席かと」
翔子が驚きながら言う。だから何で私はこんなに適当な位置づけなんだろう。
「じゃあ早速だけど雑魚退治から始めましょう。」
「沢城さんも速く呪人化しちゃってください。マチルダも下がってて。」
「はいですぅ。」
マチルダが下がった途端私の間を何かが掠める。何かの車輪のようだ。
「それが魔女の使い魔ですよ。」
よく見ると車輪の中央に目がついていて辺りをキョロキョロ見回している。え〜キモーい☆(ブーメラン)
「『ワールプレリュード』」
翔子の手から竜巻が生み出され車輪を吹き飛ばし、吹き飛ばした車輪を優の鞭が地面に叩きつける。
私も何かしないと…そうだ!魔女の名前を調べよう。確か使い魔にも使えた筈だ。
「あれは『自転車』の使い魔ですぅ。」
ちっマチルダの奴、人の見せ場を……
自転車の使い魔「スィスイ!」
不気味な軌道を描く車輪が幾つもこっちに向かってくる。
「『フロストリボン』!!」
毎度恒例の如く冷気を帯びたリボンが蒼乃の前に張られ車輪を止めて凍らせる。
「『スカイ・ヴァロン』!」
翔子の両手にバイオリンが握られる。
「『アタックワルツ』」
音波の輪が凍った車輪を砕くと車輪が光の粉になって夜の闇に消えていく。
「よし!チームワークばっちし!完璧だね。」
「まだ早いですぅ。」
「見てください、魔女が来ます!」
優が指差す先に生温い風が渦巻いていた。渦の中心部からショートカットの両足が一輪車になった女性が現れる。
「全員構えて!」
翔子の掛け声で全員が武器を構える。
共闘同盟の記念すべき初仕事!!ここはばっちり決めるわよ!
続く(続きませn(続くよ!!!