複雑・ファジー小説
- 第9章生徒会室と名探偵 ( No.97 )
- 日時: 2012/06/07 18:17
- 名前: 緋賀アリス (ID: 35AN48Qe)
次の日、事前に話があると連絡したら今日も生徒会室で会議する事になった。今日は生徒会は無いので榊原君が途中から来る心配もないらしい。
『……コホン、今日皆さんに集まってもらったのはほかでもない』
勿論ここ最近の魔女についてだ。
「さっさと教えてよ」
「蒼乃さん何かわかったんですか??」
皆して知りたがりそうにしている。中々いい気分じゃぁないか……今度からは推理小説は推理しながら読むことにしよう。
『ふむ、まぁ私のこの灰色の脳細胞を使えばこんな謎いとm
「まずこれを見てください。」
梓が全員にコピーを配る。私の発言を遮るとは……
配られたコピー用紙にはこんな事が書かれていた。
オカルト部怪奇通信、15号記念企画
『翁梶学園ノ七不思議について』
今回オカルト部は我が翁梶学園の七不思議について調べてみようと思う。調査方法は先輩や先生に聞いたりアンケートを行っただけと中々チープな方法だが、これが意外と情報が集まった。微妙に違う所や少数派の情報など多々の「不思議」があったがその中でも目撃談、体験談が多かった七つを『翁梶学園ノ七不思議』としてここに紹介しよう。
最初に言っておくが、7つ目は「全て知ったら死ぬ」ではないので悪しからず、安心して読んでほしい。
1、「この世ならざる鏡」
夜中に複数で体育館にある姿見に映ると人数が一人増えているという物。その他生首が映る等他説あり。
2、「科学室の灯火」
誰もいない科学室で火の付いたアルコールランプがテーブル一面に敷き詰められて「灯火」のようになっている。
3、「気まぐれな階段」
階段の段数が極端に多くなったり、減ったり感じてしまうらしい。見た目は普通というのが不気味さを引き立てる。
4、「踊る包丁」
夜の校内を包丁が飛び回るという物。恐怖云々の前にかなり危ないじゃないか。
5、「無限ランナー」
校庭コースを延々と超高速で走り続ける少女がいるらしい。足が車輪だとか、たまに校外でも現れたりするなど諸説あり。
6、「嘆きのピアノ」
これは割と定番。ピアノが独りでに悲しいメロディを弾きだす。女の幽霊が弾いているなどの意見も。
7、「悪魔の石像」
校門近くにある我が学園の理事の親戚が作製したといわれる、「女神の石像」に悪魔の羽が生え暴れまわるらしい。何かこれだけベクトルがおかしい気が……。
さてでは次に検証と行こうか、まず鏡についてだが、人間の脳は非常に勘違いが多く(ここで紙が切れる)
「いや続き気になるんだけど……」
『問題ありません、茉莉さん、図書室の部活動冊子の棚のオカルト部怪奇通信の15号に続きは書いてありますから。所で皆さん、異論はおありかな??』
やべぇ!なにこの爽快感。名探偵アオノ好調です!!
「確かに……これと言って突っ込むところもありませんね、」
「七不思議ですか……確かに共通点は多いし、学校に集まる理由も解りますしね。」
『じゃあ異論はなしと言う事で!……次に……』
「あのさぁ」
茉莉が話を遮るように手を挙げる。
『何ですか?茉莉さん。』
「七不思議についてはいいと思うんだけど、もしその考えが当たっているなら今度は『悪魔の石像』が魔女になって現れるわけだ。」
確かに七不思議の内現れていないのは『悪魔の石像』だけだ。
「他の奴らを見るに多分この魔女も襲ってくるんだろうからさ、現れる場所は校門前の石像だろうし今夜皆で見に行ってみない?現れなければそれでいいし、現れたら倒せばいいし」
「貴方がそんなヤル気になるなんて珍しいわね。」
翔子が驚いている。
「まぁ、後輩にこうも綺麗に謎解きされちゃうと気になるしね善は急げだしってか今週は今日以外は予定あるし」
「また彼氏とデートですか?桐谷さん。」
「まぁね」
優の質問に茉莉が超ドヤで答える。
『うおあぉぁあぉぁあぉぁあぉぉぁあぉぉぁあああおおおあ』
「うるさいわね、クソ腐女子。」
「だって、梓ぁ、うぁあああぉぉぁああ」
「まぁ私は今日は生徒会もないし構わないけど……三人はどうかしら?」
翔子先輩の私の叫びのガン無視……おぅ
「アタシは構いませんよ」
「私も構いません。」
『わ、私も、構いません……』
すると、茉莉が長いポニーテールを揺らしながら勢いよく立ち上がる。
「決定!!じゃあ今日の9時に校門集合ね。マチルダも呼ぼうか」
『じゃあ私が』
「なら蒼乃よろしくね!よし!さぁてバイト、バイト!8時には上がれるから心配ないよ〜バ〜イ!」
茉莉が駆け足で生徒会室を出ていく。茉莉さんってバイトもしてたのか……大変そう
「茉莉さんって何時もふざけてるように見えて意外と真面目そうですよね。」
「真面目ではないけど……頑張り屋なのは確かね……」
『頑張り屋っていうよりは要領が良いだけに見えるんだけどなぁ』
「親友だからこそわかる物があるんじゃないの?」
『何で友達もいない梓が解るのよ』
「シバくわよこのクソ腐女子。」
しかし9時に集合か……時計を見ればまだ5時前だ。まだ外は明るいし、校庭も部活動真っ盛りだ。
『一旦帰るか……』
「そうね」
「私は生徒会室の掃除と書類整理してから帰るわ。」
よく見れば机には山のようにプリントやらファイルやらが積まれている。……しかしよくこんな不安定に置いてあるのに魔法使った時に吹き飛ばなかったのかが疑問に残る。
『手伝いましょうか?』
「気持ちは嬉しいのだけど、生徒会の人じゃないと解らない書類とか多いから大丈夫ですよ。ありがとう。」
生徒会室を出て、部活に勤しむ生徒達の活気溢れる中を梓と優の三人で校門へ向かう。
「にしても三人寄れば文殊の知恵じゃないですけど、何人か集まっただけで、こんなにスピード解決するなんて驚きです。」
『まぁ確かに私の奇跡的な閃きがあったからこそだったk
「まだ解決してないわよ、希咲さん。今晩が最後の砦なんだから。」
『何が来ようとこの沢城蒼n……ブホ!
又梓が会話の強制終了してきたのかと思いきや、突然強風が三人の間をすり抜けて、髪を靡かせる。……と同時に何か強い視線空からを感じた。振り返り空を見上げるも、誰かいるはずもなく、ほんの少し赤味を帯びた空がただ広がっているだけだった。
『今誰か見てた?』
「?何言ってるの?さっさ帰りましょ。」
『あ、うん』
さっきの視線は気のせいか何かか……
かくして私達は翁梶学園七不思議の真相を知る為に奔走するのであった。
——「嘘ぉ。あれが私の手下達を次々にのしていったっていう呪人?拍子抜けしちゃうわぁ。」
周りには見えないのだろうか?大きなビスケットのような板が空に浮かんでいる。そしてその上に、肘をついて仰向けに寝転がりながらドーナツを二つ繋げた眼鏡ような形の双眼鏡を覗いている少女がいた。
「決ぃめた☆今夜アイツら集まるらしいから、全員まとめてコテンパンにしてパイ生地の足しにでもしてあげるわぁ。」
色とりどりの砂糖菓子を散りばめたクリーム色のドレスを揺らしながら少女は立ち上がりその場でくるくる回る。
「久しぶりのスウィートパーティーにしちゃうんだから☆」
多分続く
さぁ私も予想外のスイーツ(笑)が降臨しました。一体何者なんでしょう。ところで今回からその話の中心人物(大抵は蒼乃)の台詞は『』で表記する事にしました。手抜きじゃないです。許してください。