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複雑・ファジー小説
- Re: ▽attention、 —この先、危険区域— ( No.3 )
- 日時: 2011/12/10 22:36
- 名前: 唯津* (ID: Hf5/.9Rn)
第一話 「すべての始まり」
*01 ミイラ取りがミイラになるってホント
「オイ、そこの嬢ちゃん。ちょぉっと金、かしてくんねぇかな?」
「ちょっとだけでいいんだ。ちょっとだけ、な?」
いかにも強面の男二人がその男たちの半分にも満たない少女をとりかこんでいた。
少女はその男たちを見て怖がるように肩を震わせ、言われた通り金を出す。——はずだった。
少なくとも男二人が脅してきた女たちは、そうやって金を出してきたのだ。
男たちは少し、何も感情を表さない少女に異変を感じていた。
「…なぁ」
「あ?」
男たちはすこし警戒しながら少女の言葉の返事をする。
「お前ら、馬鹿だろ」
「はぁ!?」
「馬鹿だっていってんだ、馬鹿。…あ、間違えた馬鹿×2」
「なにいって…!?」
次の瞬間、男たちは宙を浮いていた。それと同時に少女は、片手に持った日本刀で男たちのカバンを斬った。
そのあと刀の柄で男たちの鳩尾に叩き込む。
男たちが地に落ちた時にはすでに少女は、刀を器用に仕舞い込んでいた。
「…だから馬鹿だっていったんだよ」
少女は妙に整っている顔に似合わぬ言葉を吐き出し、男たちのカバンから財布を抜き取った。
「…ちッ、しけてんなぁ」
野口さん6枚と樋口さん1枚を自分の財布に仕舞い、ポケットから風船ガムを取り出し噛んだ。
「……だるいなぁ」
ガムをぷぅっと膨らませながらつぶやく。
「……つまんないなぁ」
次は少し悲しそうに空を見上げつぶやいた。
空を見つめる目にはどんな意味があったのか、少女以外知らないが。
——これがひたすらドライな少女の日常で、少女にとっての苦痛だった。
第一話 *01 えんど*
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