複雑・ファジー小説
- Re: ▽attention、 —この先、危険区域— ( No.4 )
- 日時: 2011/12/11 22:44
- 名前: 唯津* (ID: Hf5/.9Rn)
第一話 「すべての始まり」
*02 純粋な子って押しがけっこう強かったりする
少女は今、苦悶していた。
いうならばいきなりかわいい女の子に「どうやったんですか!? え、どうやって倒したんですか!?」って言われて返事に困ってるような感じだ。
つか、そういわれてるのだ。
つまり今の状況を説明すると、かわいい女の子にさっきの現場をばっちり見られていて、興奮しながらどうやって倒したのかを質問されまくっているわけだ。
これがむさくるしい男だったらそのまま突き放すことも可能なのだが、こんな純粋で可憐な女の子を突き放すこともできず。
僕はあさっての方向を見ながら、興奮している女の子に胸倉を掴まれてぐわんぐわんと揺らされている。
「おー願ーいーでーすー! 教えて下さい!!」
さすがに揺らされて気持ちが悪くなったので、女の子の手を離すことにした。
様子を見るためちらっと女の子の顔を見た。が、
その表情は一生懸命で健気な表情で。
(…やべェ。 ちょーかわいい!!)
じゃないわッッ!! そういう問題じゃないわッッ! と思考を元に戻しつつ、女の子の手をつかむ。
「…ごめん。手、離して」
「あッ、ごめんなさい!!」
女の子は少し恥ずかしそうに顔を赤らめ、真剣な顔つきに戻る。
その顔つきがきりっとしていてさっきとは違うかわいさだと少女は感じた。
「んで、今のどうやって倒したんですか? なんか修行でもされてたのでしょうか?」
「…んとねぇ。ただ気絶させただけだよ? 死んでないよ? 修行ってゆーか、剣術を少し習ってただけだか…」
「すごいです!!」
「…え?」
「一緒に魔女倒しにいきましょう!!」
「……え?」
「専門学校いきましょう!!」
「………は?」
女の子は目をきらきらさせ、意味不明なことを言い出す。
「名前、なんですか?」
「ぇ…エマ・ストレンジネス…です?」
「エマさん! 私はリリィ・フィリアです! よろしくです」
そうやって手を差し出す女の子、もといリリィ。
手を差し出すリリィは、なんだか誇らしげで頼もしく見えたのだが。
それにつられて手を差し出した僕は、あとで後悔することになるのは別の話。
「あ、はい……ども」
———エマ・ストレンジネス〈奇妙なもの〉、太陽のような笑顔の前に倒れる。
第一話 *02 えんど*