複雑・ファジー小説

Re: ▽あてんしょん、 *第一話 02 うp ( No.5 )
日時: 2011/12/12 19:13
名前: 唯津* (ID: Hf5/.9Rn)

第一話 「すべての始まり」

*03 男嫌いが災いを呼ぶ


(——…なんでこうなった)

 ただいま、魔女討伐専門学校正門の前にたっていますなう。もっといえばたたされているなう。

(魔女討伐専門学校……戦闘が専門の学校か。聞いたことある)

 僕がいくら一人で薄汚い都市部に住んでいようとも、耳に入ってくる情報だ。
 僕は、学校というものが嫌いだ。というか自由が好きだ。
 だから知っていても断じて入ろうとは思っていない。だが、隣のリリィがそれを許さない。

 つまり必然的に学校内に入るという方向に行ってしまう。
 

「よし! 入りましょう!!」

 意気揚々と宣言するリリィ。

「……勘弁してくれよ」

 もう疲れたという表情の僕。

 いくら僕が女の子大好き人間だとしても、女の子の中の性格ブスな方々や無神経な方々は嫌いだ。なので別に今リリィの手を離すこともできるが、リリィの握力が思ったよりも強く、振り払えない。
 あ、でもリリィは性格が悪いわけでもなく無神経な人ではない。天然なだけで…あれ? 天然って無神経の人に入るのか? なんかもうわからなくなってきた。

 リリィに無理矢理引きずられ、校門を横切る。
 ああああ、グッバイ僕の自由よ……!


「…なんか、人がいないですね?」

「授業中じゃないのか?」

 
 魔女学内に入って十分。人っ気がない。
 授業中という可能性もあるが、あまりに気配がなさすぎるのですこし警戒することにした まる


「……ここ、どこでしょう?」

「道順知ってたんじゃないのかよ!?」

「いやぁ、適当に入っていけば人に聞けるかと思いまして…」

「リリィ、お前。天然を通り越しての馬鹿か…?」

「ヒィィイィィ!! 怒んないで! 切れないで!」


 魔女学内に入って三十分。二人とも迷った。
 もうリリィはかわいいかわいい女の子じゃない。ただの馬鹿だ。
 おまけに僕の怒りメーターも振り切れる寸前だ まる


「おーーい!! 魔女学生、出でこいやァーー! 出てきたらアメあげるよォーー」


「……リリィ。あとで死ね」


「…ごめんなさい」


 魔女学内に入って一時間。もう迷ったっていうレベルじゃない。さまよっている。
 リリィの土下座も見れたのでもうリリィのせいにはしないが、これからどうしよう まる


「………」

「………」


 魔女学内に入って二時間。もう会話がない。
 あとさっきまでは引きずられていたが、今は僕が逆にリリィを引きずっている まる


「……もう、疲れた」

「少し休みましょうか」

「お前はただ引きずられてただけだろうがァァァ!」

 ひたすら馬鹿なリリィに突っ込みをいれつつ、通路の壁におっかかる。喉が渇いたのでふところから棒付きアメを取り出した。
 アメの袋をはがして、口に放り込んだ数秒後、

——トスッ

 何かが何かに刺さる音が聞こえた。

——詳しく言えば、僕とリリィの間の壁から。

「ッ!!」


 やはり、すこしおかしかった。
 魔女学に入って誰もいないという状況が。もしかして魔女学に泥棒や侵入者あつかいされているのかもしれない。
 

「誰だッ!!」

 
 僕は日本刀を肩から掛けていた袋から抜き取り、何かが飛んできた方向へ構えた。
 リリィは何か飛んできたことにびっくりし、口を半開きさせたまま固まっている。
 僕は間抜けな顔だなぁと思いつつ、次の攻撃の対応に集中していた。


「やだなぁ。そんな怖い顔しないでよ。そんなつもりで投げたわけじゃないんだからさ」


 聞こえてくるのは、低い声。声からすると三代前半か、後半くらいだろうか。
 声の調子からすると悪意はなさそうだ。だが警戒はした方がよさそう。
 なんだか聞いていて気持ち悪くなってきた。
 男の低い声とかまじ死んでほしいわ。

 暗い所から出てくる男へと刀を集中する。


「魔女学案内人もとい先生、イズミだ。よろしく」


 僕たちに姿を現したのは、ナル全開の白スーツ野郎。
 まさに僕が嫌いなタイプだった。
 



———男嫌いは災いを呼ぶ。
(だれに対してだかわからないが)




第一話 *03 えんど。