複雑・ファジー小説
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.2 )
- 日時: 2011/12/16 20:05
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第1話
暗い霧の町、その陰に隠れた学校に、彼女は今日も足を運ぶ。
見つかれば銃殺。しかし彼女は小柄で細身で、それにすばしっこい。
だからきっと今日も大丈夫。
ギシギシなる廊下をそろりそろりとわたる。
古い木の廊下はわたりにくくてとてもハラハラするけど、スリル満点でとても面白い。って…逆に思う。
あとは、壁のレンガの上から7番目、右から13番目のレンガを前に押し込む…。
ギィィィィー
レンガの壁が横にすぅっと押し込まれ、暗い道が開けた。
レンガの壁は内側からしめられるようになっている。
鞄に入れておいた懐中電灯を持って階段を駆け下りる。
一番下まで来た、すると彼女の前に大きな木のドアが立ちはだかる。
看板に、ヴァンヒッティ校生徒避難所と書いてある。
はぁ、今日も無事にここまでたどり着くことができた。
私はこの巨大なドアを開き、生徒室に入った。
皆心配そうな顔をしてメグに振り替える。
「メグ、大丈夫?襲われなかった?」
「大丈夫よ、全然。むしろ、軍は私の存在に気づきもしなかった。」
ふふん、と鼻を鳴らしてメグはにっこりと笑って見せた。
マーガレット=レオヴァーヌ 通称メグ
この物語の、ヒロインである。
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.3 )
- 日時: 2011/12/16 20:17
- 名前: よく脛ばっか蹴られて痛い男 (ID: lFtbIZgG)
主は運命など言っていない
人間が勝ってにそう解釈及び認識をしただけだ
運命運命言う奴は本当に救いのある奴だよ
信じたい物を信じる事が出来るからね
そう思ったら
僕は本当に救われない
あぁ信じる力がないんじゃなくて
信じたい物がないからだよ
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.4 )
- 日時: 2011/12/16 20:25
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第2話
「そうだよね、メグには怖いものなんてないもんね。」
「そうよ。へっちゃらなんだからね。」
メグは自慢げに花をふくらませた。
「え、一個だけあるよ。」
幼馴染のジャスが口をはさんだ瞬間、メグは顔を真っ赤にして怒った。
「何よ、私が何を怖いっていうの?」
さあ、どうなのよ?いってごらんなさい!このあまちゃんが!
メグは目の前の少年の前に足を運び、詰め寄った。
「たしか腋、弱いんだよね。」
彼の言葉に皆が「えー!?」の大合唱。
皆でメグの腋コチョコチョを始めた。
ジャスはそれを見ているだけ。
「ぎゃぁははははっははははははははひゃめなっはははああぎゃああ」
「ヤカマシイ!」
入口から、中年の女性の声がした。
担任のルースティ先生の声だ。
「レオヴァーヌゥ?あなたねぇ?さっき大声で笑っていたのはぁ〜?」
ぬらっとした話口調。なんだかムカツクがとりあえず我慢しておいて方がここは身のため。
それに、あれだけ大きな声で笑えば軍に見つかってしまうかもしれない。
自重…せざる負えなかった。
「今日は誰ともお喋り禁止!」
自重しても助からなかった。
「いいですか?いま、フェルヴェリオ軍がごろごろしている今、私たちはそんなおちゃらけている場合じゃないんです!自分の息を保つために
は、真面目に、自分の立場を考え行動する必要があるの!だから…」
ルースティ先生はその後も長々と語り続けた。
つまらないお小言だとは思った。
でも、今は実際
悲惨な時代だったのだ
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.5 )
- 日時: 2011/12/16 20:56
- 名前: よく脛ばっか蹴られて痛い男 (ID: lFtbIZgG)
あぁ>>3はただの“チョッカイ”だから
気にしないでいいよ
まぁ君がコレを荒らしと認識したのなら
通報すればいいまでだから
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.6 )
- 日時: 2011/12/16 21:56
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
いま、気が付いたよスネオ。
済まなかった。別にいいが、脛←は何て読むんだ?
と、前からの疑問だけど?
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.7 )
- 日時: 2011/12/16 22:18
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第3話
隣国フェルヴェリオはもともと、勢力の弱い国だった。
大陸一という訳ではなかったが、メグのいるこの「ベルテイ」よりかは、遙かに「弱小」という名が似合う国だったのにどうしてこんなことになっているのか…。
大人たちは未だ、理由を明かしてくれない。
どうしてなのか…。
気になるところだが、大人たちとメグたちの威圧の差というのは遙かなもので、とてもかないそうにない。
いつの間にか、メグたちには「なぜ、フェルヴェリオ軍がベルテイをうろついているのか」「自分たちがどうしてこんな生活をしなくてはいけないのか」という、疑問は消えていった。
ただ、納得できない気持ちだけを残しながら。
「では、今日は最初に「生物」を勉強いたしましょうか。それじゃあ、ノートを出して。」
最初の授業は生物だった。
カエルだとか蛇だとか、爬虫類が前半だったが今日は何だかいつもと違った授業に思えた。
教科書に書いてあるのは普通のにんげんの絵。それも何人か。
老人、幼児、青年、少女。さまざまな姿。
人間についての授業なのかな…。そう思った。
「皆さんはこの人たちと私たちのどこか違うことに気づきませんか?」
私たちと違うこと?そんなの分からない。見抜けない。
どこなんだ?
「あ…。」
前の席からジャスの声が聞こえた。
そーっと手をプルプル震わせながらジャスは手をあげる。
黒い髪がその震えとともに揺れている。
「ジャスティン=ブランケルト」
冷たい声がジャスに刺さる。
「耳がとんがっています。それから目の色がちょっと青と緑の濁ったような色です。」
「はい、その通りです。」
変わった色の目に、尖った耳ときたか。
そんな幼いころ、昔話で聞かされていそうな妖精の特徴、とても典型的なんですけど、それを私は見抜けなかったということか…。
ジャスはよく気が付いたな、とメグはジャスの方を見た。
頬を真っ赤にして嬉しそうな顔をしている。
あがり症のジャスらしいな…。
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.8 )
- 日時: 2011/12/16 23:15
- 名前: よく脛ばっか蹴られて痛い男 (ID: lFtbIZgG)
>>6
“スネ”だ
解ってくれ
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.9 )
- 日時: 2011/12/17 16:48
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
あぁ〜あ。なるなる。わかったぜ。スネ夫。
脛ばっかり蹴られるんだ…。可哀想ね。
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.10 )
- 日時: 2011/12/17 17:06
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第4話
ジャスは授業中ほとんど手をあげない。
そんなジャスが手を挙げたのが気に入らないのか、不服そうにルースティ先生はジャスの事を見た。
「…まったく、そんなことがわかるならいつも手をあげればいいものを…。」
先生はぼそりと言ったつもりかもしれないが、目の前の席のメグには丸ぎこえだった。
「彼らの名は「夢喰い」夢喰らい、ヴェルピストとも呼ばれています。東洋国の言い伝えではその名の通り、夢を食べる生き物として知られています。」
「先生。」
後ろの席から凛々しい声がした。
思わず振り返ると、手をあげているのはフィオナの様だ。
フィオナ=バートレット
彼女は、このクラスの学級委員を務める秀才で、メガネをかけた少女だ。
話してみるとそっけなく、つっけんどんな処であり、くだけたことを言うとすぐに真面目なことを言うお堅い感じの子。
メグはあまりフィオナの事を好きになれなかった。
話しにくくてあまり好きじゃない。
「なんですか、バートレットさん」
先生は柔らかな物腰でフィオナに返事を返した。
フィオナは先生のお気に入りなので「さん」づけで呼んでもらえる。
「どうして東洋の、しかも架空生き物の事をお話しなさるんですか。今までは、蛇とか、カエルとか、そんな爬虫類の事をお話しなさっていたのに。」
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.11 )
- 日時: 2011/12/17 20:48
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第5話
今回ばかりは、フィオナに一理ある。
どうして、今までとは違う、言い伝えの生き物なんかの授業をするのだろう。
まぁ、それもまた楽しそうだけど。
ルースティ先生はきりりとした表情に戻ると、「ん、んん」と、咳ばらいをした。
「なぜ、今この「夢喰い」の話をするのかと言いますとね。東洋のくにより、この「夢喰い」の発生が見られたという情報があるのです。いましなくて、いつこの話をするというのです?いましなくては大いにもったいないことかと。さ、話を続けましょう。」
そんなこと言うのならば、この現状について語ってくれればいいものを…
って先生に言ってやりたかったが、面倒くさくなりそうなのでやめた。
先生の長いお小言は眠くなってきて、面白くないし。
先生は夢喰いが起こした事件をちまちまと長ったらしく喋りまくった。
実際の夢喰いの写真なども、教科書に載っていた。
ふと、その一枚にメグは目を向けた。
あれ…?
その少年にはなんだか見覚えがあった。
実際見たことがあるという訳がない。
だけど、なんだかとても懐かしくて…。
思い出せない。いくら頭を絞っても、その記憶は全く出てこない。思い出せないもどかしさ、頭と心が何だかむず痒い…。
多分、他人の空似というやつなんだろう。
でも…そんなことって?
人間と、人間ではないものが似ているって?
メグは頭をふるふるふって、その考えをかき消した。
お隣のパン屋さんの旦那さん…。バッキンソンさんはそのペットのチャッピーにとてもよく似ている。
そうだ、そんなことってあるんだ。
でも…本当にそうなのだろうか?
その、むすっとした顔の怪しい少年には、昔何処かで出会ったような気がしてならなかった…。
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.12 )
- 日時: 2011/12/18 00:06
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第6話
全部の授業が終わると、避難所に付属の個室に皆次々と帰って行った。
家にいると、フェルヴェリオに捕まるかも知れないとのことで、今日からこの避難所での生活が始まったのだ。
それに、大人たちは既に
—フェルヴェリオの牢の中—
子供たちだけで家にいるわけにもいかないのだ。
メグは、あの夢喰いと表された少年の事が気になっていた。
濁った瞳の不思議な少年。
何処かで見た気がするんだけど…。
やっぱり思い出せない。
はぁ、やめやめ!
余り無理やり記憶を穿り出そうとすると頭が痛くなる。
面倒なことはやらない方がいい。
だって面倒だから。
さあ、もう部屋に戻る時間だ。
メグはみんなを引き連れ、部屋に帰って行った。
『君はどうしてすぐにありえないっていうんだ?』
太陽の光がはとはの間からてらてら漏れている。
木漏れ日っていうんだろうか、スポットライトのように差し込む光
声の主は可愛い子供みたいな笑顔で私…メグに言う。
『有り得ちゃったことなのに。どうして有り得ないんだよ』
ニコニコ笑いながらも説教めいた言葉…。
金髪のちょっと長い髪、黒に緑が足されたような不思議な色の瞳、しわくちゃの背広、私より少し小さな背。
『君は、臆病者で、きっと君の周りに広がる世界をよく見たことがないんだろう。だからそんなことを言うんだな。』
臆病者!?
今でこそたくましくて、目立ちたがり屋のメグ。
臆病だなんていわれ、少しの間あっけにとられる。
でも、なんて可愛い人なんだろう…。
心惹かれてしまいそうな笑顔だった…。
「な、なんてことを」
『ねぇ、もう少しよく見てごらんなさい』
ちいさな手でメグの腕をつかむ誰か、その力の強さにメグはおののいた。
さっきまでのふわっとした感情は消え、ぎょっとし、恐怖を感じだ。
この子といたら、私はひねりつぶされてしまうんじゃないだろうか…。
『世界を…!』
彼はそのまま、メグの腕をもぎ取るような強さで握り、ものすごい速さで駆けだした。
メグは気絶した…。
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.13 )
- 日時: 2011/12/18 10:04
- 名前: よく脛ばっか蹴られて痛い男 (ID: ESJvCUA5)
>>9
スネ夫じゃなくて
スネオだ
解ってくれ
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.14 )
- 日時: 2011/12/19 21:33
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
>>13スネオ…ね!おk!あ、もしかして脛ばっかり蹴られてるから脛オ…いや、なんでも。
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.15 )
- 日時: 2011/12/19 21:44
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第7話
「ハッ!!」
気が付くと、寝室にいた。
窮屈でリラックスしにくい冷たい部屋。
まったく、なんで私たちがこんな部屋で寝なくちゃいけないのか。
納得いかないが、もう改めていうのはやめたんだ。
「ただの夢だったのね。にしても、痛かったぁ…。」
となりで、ジャスが寝返りを打って、うなされている。
ジャスもよく眠れないのだろうか。とても辛そうだ。
「はぁ〜あ、元の生活に戻れるのかな。」
フェルヴェリオがベルテイのにんげんを殺したり、捕えたりしていること。
大人たちが訳を教えてくれないこと。
『君は、臆病者で、きっと君の周りに広がる世界をよく見たことがないんだろう。だからそんなことを言うんだな。』
ふと、夢に出てきた少年の言葉がよみがえる。
「悪かったわね。でも、言うほど物知らずじゃないんだからね。」
でも、どうしても教えてくれない。
…あ。
…そう、そうよ。
ルースティ先生は教えてくれない。
でも、なら自分で調べればいいじゃない。
外の世界で何が起きているのか…。
メグは急いで外へ出かける準備をした。
一着しか持っていないコートも、目立たない色だし、絶対に見つからない。
大丈夫、私は自分の事、信じているもの。
だから、平気。
メグ、大丈夫なんだからね?
自分に言い聞かせ、彼女は…。
マーガレット=レオヴァーヌは誰にも気づかれぬように
外へ飛び出した…。
誰にも気づかれぬように外へ飛び出した…
つもりでした…。
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.16 )
- 日時: 2011/12/19 22:09
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第8話
でも、確かめるって言っても、どうしたらいいの?
確かめるすべなんて、メグにはわからなかった。
王宮に乗り込み、王様に会いに行く?
だめ、見つかったら囚われてしまう…。
でも、囚われた時の用意をして…捕まってもそれで逃げ出すことにすれば…そう!それで行こう!
でも、じゃあどうやって逃げ出すことにする?
う〜ん、牢獄の形にもよるし…。
困った。あう。
一人で飛び出しても、やはり無謀だったか。
仕方ない、帰ろうかな。
(振り返ってはいけないよ)
え…?
必死に、訴えるような囁き声が脳内に響いた。
でも、遅かった。
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.17 )
- 日時: 2011/12/20 17:16
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第9話
「キャッ」
「ほ〜ぉ、こんな時間に子供を見つけるたぁなぁ。」
「ウへヘヘ、どうします兄貴、俺らの最初の獲物ですなぁ!」
振り返ると、体格のいい、大きな体の髭を生やした男たちがメグの事を見下ろしていたのだ。
彼らは鎧に、血の付いた剣を所持していた。
2対1、あっちには武器があり、こっちにはない。あっちはけいこを重ねているだろうが、メグは戦う方法など、訓練したこともない。大人と子供、男と女、力の差は歴然。
明らかにこちら側が不利だ。
「フェルヴェリオ兵…。」
「ほーぉ、子供でも勉強はしているようだなぁ〜!」
下品な笑い方をする兵が、メグに近づいてきた。
顎を突き出して、チンピラみたい。
正規兵の様には思えない。
「勉強ができても、先生の話がまともに聞けていないんじゃないかい?こんな時間に外に出るなんて、どんなまぬけだ。」
「いずれにせよ、お前ぁ俺たちに殺される運命なんだなぁ。可哀想に。ウへヘヘへへケケ」
こ、殺される!?
嫌だ、こんなところで死んでたまるか。
私はまだ生きていたい。
フェルヴェリオ軍がどうしてベルテイを荒らすのか知りたい。
「まって!殺さないで!」
「残念だなぁ、俺も手荒な真似は嫌いなんだがよ。あのお方の為に一肌脱ぐのが我らの役目よ。」
あのお方…?
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.18 )
- 日時: 2011/12/20 09:13
- 名前: よく脛ばっか蹴られて痛い男 (ID: B3O778cF)
>>14
それ以外に何がある……!
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.19 )
- 日時: 2011/12/20 17:13
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
>>18 いやぁ、キャラクターのスネオが好きなのかなって思ったから。(^○^)
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.20 )
- 日時: 2011/12/21 15:49
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第10話
その人が、ベルテイを荒らす引き金を引いた張本人?
聞きたかったが、怖すぎて口がもうこれ以上開けない。聞いてしまったら、きっと泣きだしてしまう。
そんなことしたらまた、笑われて殺されて、それだけだ。今はもう、逃げるしか道がないのかも…。
でも、それもだめ。力が入らない。
「おや?怖くてもう何も言えないか?じゃあ、とっとと始末するまでよぉ!」
フェルヴェリオ兵は腰に据えた大剣を握り、メグに向かって振り上げた。
もうだめだ…!
覚悟をが定まらないまま、メグは目を閉じた。
「うるぉぁあ!」
男はメグに向かって大剣を振り下ろした。
ザシュッ
刹那、醜い音が響いた。
…もう手遅れなんだ。
メグは…マーガレット=フェルヴェリオは…。
死んでしまったんだ…。
「…どうして私、まだ生きているの?」
目の前には事切れた二人のフェルヴェリオ兵。
どうやら私を襲ったあの二人らしい。
でも、私は…メグはこの二人に殺されてしまったんじゃないだろうか?
え、え?
意味も解らないまま、取り残された。
これから私はどうしたらいいのだろう。
…帰らなくちゃ。
今すぐ帰って布団に入ってちゃんと寝ていたふりをすればきっと大丈夫!
メグは立ち上がった。
その時、
「相変わらず、君は物知らずの馬鹿者なんだな。」
「え…?」
その声はふぅっ…とため息をついた。
コトバにかなりの抵抗があった、ムカつきながらも振り返ることができなかった。
またフェルヴェリオ兵だとしたら?
作戦かもしれない。
おそるおそる、メグは振り返った。
「…!」
とんがった耳、濁ったような色の目、ヴェルピストの特徴を据えた不思議な少年…。
あの、教科書で見た夢喰らい、見たことある様な気がした夢喰らいといっしょ。
穏やかで、幼くて、ほんの少しの狂気が入り混じったとてもはかなげな笑顔を称える…そんな少年
「君にまた出会えるなんてね。」
「夢…喰らい?」
喜劇か…または悲劇か…。
それは彼にしかわからない