複雑・ファジー小説
- Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.20 )
- 日時: 2011/12/21 15:49
- 名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
第10話
その人が、ベルテイを荒らす引き金を引いた張本人?
聞きたかったが、怖すぎて口がもうこれ以上開けない。聞いてしまったら、きっと泣きだしてしまう。
そんなことしたらまた、笑われて殺されて、それだけだ。今はもう、逃げるしか道がないのかも…。
でも、それもだめ。力が入らない。
「おや?怖くてもう何も言えないか?じゃあ、とっとと始末するまでよぉ!」
フェルヴェリオ兵は腰に据えた大剣を握り、メグに向かって振り上げた。
もうだめだ…!
覚悟をが定まらないまま、メグは目を閉じた。
「うるぉぁあ!」
男はメグに向かって大剣を振り下ろした。
ザシュッ
刹那、醜い音が響いた。
…もう手遅れなんだ。
メグは…マーガレット=フェルヴェリオは…。
死んでしまったんだ…。
「…どうして私、まだ生きているの?」
目の前には事切れた二人のフェルヴェリオ兵。
どうやら私を襲ったあの二人らしい。
でも、私は…メグはこの二人に殺されてしまったんじゃないだろうか?
え、え?
意味も解らないまま、取り残された。
これから私はどうしたらいいのだろう。
…帰らなくちゃ。
今すぐ帰って布団に入ってちゃんと寝ていたふりをすればきっと大丈夫!
メグは立ち上がった。
その時、
「相変わらず、君は物知らずの馬鹿者なんだな。」
「え…?」
その声はふぅっ…とため息をついた。
コトバにかなりの抵抗があった、ムカつきながらも振り返ることができなかった。
またフェルヴェリオ兵だとしたら?
作戦かもしれない。
おそるおそる、メグは振り返った。
「…!」
とんがった耳、濁ったような色の目、ヴェルピストの特徴を据えた不思議な少年…。
あの、教科書で見た夢喰らい、見たことある様な気がした夢喰らいといっしょ。
穏やかで、幼くて、ほんの少しの狂気が入り混じったとてもはかなげな笑顔を称える…そんな少年
「君にまた出会えるなんてね。」
「夢…喰らい?」
喜劇か…または悲劇か…。
それは彼にしかわからない