複雑・ファジー小説

Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.35 )
日時: 2011/12/26 17:51
名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)

第17話

ベルテイのにんげん…。
全ての人間の言葉のように聞こえた。
兵士は相変わらずの嘲るような目つきでメグを見下ろした。

「ふんっ言えないね。俺たちはボスの為にやっているんだよ。」
「とにかく、ここにいる子供らは生かしておけねえ。おら、どけっ」
銃でメグはぶたれた。
「イタッ…!」
腕が思いきりジワジワと痛んだ。

そのまま意識を途切れて——


「どこ…ここ?」
でも、一瞬で思い出せた。
ここは、夢くらいに出会った場所。
夢の世界で——

「あぁら、やっぱり来たわね?」
「え?」
目の前に現れたのはあの少年じゃない。
今度は少女だ。あの少年に劣らずとても可愛らしい姿。

「あ、あたし?」
「ええ、そうよ〜?『魔女』さん♪」
「…夢喰らい!?」

少女は怪しげにほほ笑むと、にんまりと口の端っこを引き上げた。

「そ〜うよ〜んん」
「ねぇ、あんたは昨日の子の仲間なの?」

それを言うと、少女の表情はぴたりと止まった。
しかしまたニコニコ笑顔になって…。

「まぁ、そうかもねぇ。でもあたしとあの子は一心同体よ?」

え、こっちが氷結しそうなお言葉。

「ど、どういう?」
「変幻自在の夢くらい様になれない姿なんてあって?」

…これには驚いた。
人が姿を変えることができる?
しかも、あんなクールな少年からこんなお転婆少女に?
え、えー?
それはあり得ないんじゃないか。いくらなんでもね。
「やめてよ、そういう冗談。笑えないわ?」
「じゃあ、変身してみましょうか?」

不敵にクスクスと笑い、彼女は静かに目を閉じた。