複雑・ファジー小説

Re: 主はそれを運命と呼ぶ 夢喰らいと悪魔憑き ( No.42 )
日時: 2011/12/30 12:51
名前: 李友 (ID: LuHX0g2z)
参照: 小説鑑定感想屋

第22話

取りあえず、準備をすることにした。
鞄の中をがさごそやると、シャツと釣りズボンが出てきた。
メグは昔からスカートやワンピース、女の子らしい服があまり好きじゃなかった。
動きやすくて過ごしやすい、ズボンが大好きだった。
皆はメグの事をからかったりしたけれど、メグはズボンが大好きだった。
確かこれはお父さんがくれたものだ。
お母さんはそんなメグとお父さんに辟易としていたようだけど。
ヴァンヒッティに入ってから制服と寝巻しか使ってなかった。
久しぶりのご対面となる。
急いで着替えると、制服を鞄の中にしまった。
私物を置いて行っては、見つかる可能性が高まる。
あとは、メモ帳、懐中電灯、辞典。それから夢喰いからの手紙。
全てを鞄にしまった。

「行かなくちゃ。」

ふいに、ぐっすり眠っているジャスが目に留まった。
黒い豊かな髪を伸ばし、すー…すー…と、寝息を立てる。

もし、フェルヴェリオ兵に捕まったら、ジャスに会えなくなるんだね。
やけに冷静で、憎まれ口をよくたたく、私の幼馴染。

「もう、あたしたち逢えないかもしれないんだね。」

そういうと、ジャスは微笑んだ。
「ンフフ」ってほのかに。

「それじゃあね。ばいばい。」
「メグ…。」

ぱっと、メグの手をつかむジャス。
寝ぼけているのか、声がだるそうだ。

「すぐ戻ってきてね。」

…目を瞑っていて、意識はあったのか。
はた、眠っていて、寝ぼけているのか。
解らなかったけど、そんなジャスを可愛らしく思った。

ジャスの為にも、生きて帰らけりゃな。
大丈夫。大丈夫だよ、安心して。

「絶対絶対、戻ってくるからね。」

声に出してみると、なんだか元気が出た。
そう、本当に、自分は強くある気がした。

「ばいばい。みんな。」



他のみんなにばれないように、足早にかけて行った。