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【痛くしてあげる】
　ゆるゆると動く腰、独特の水音に、口元を歪めた。
僕の下の世界は、耳を塞ごうとするけど、空いてる方の手で手首を掴んで、それを許さない。
甘い声に、うっとりと聞きほれる。
「ねぇ、世界。気持ちい？」
　答える余裕なんて無いことは、余裕をなくすよう煽っている僕が一番よく知ってる。それでも僕は、問いかける。
「ねぇ、優しすぎると思わない？物足りないでしょ」
　否定するようにふるふると首を振った世界に、素直じゃないの、と笑いかける。
「…世界、愛してるよ」
　呟いて僕は、手の動きを止めた。
　ねぇ、世界。大好き、愛してる。細胞の一つ一つまでが愛しくて仕方がないんだ。
だから、ね。
「痛くしてあげる」
　僕を忘れられないように、その身に刻んであげる。

『い』たくしてあげる
2011.12.17