複雑・ファジー小説

Re: 『あ』から始まる ( No.42 )
日時: 2012/01/14 10:39
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)

【喉から手が出るほど欲しいもの】

 僕には、欲しいものがある。それのことを考えると、他のものに手がつかなくなるほど。理性が保てなくなるほど。
まあ、簡単に言ってしまえば、喉から手が出るほど欲しいものなんだ。
けどそれは、どんなに金を積んだって、何したって、俺の努力でしか自分のものにならないんだ。
「んにゅう?なあに難しい顔してるの?」
 その欲しいものってのは、この俺隣でふわふわ笑っているこいつ。
天然なのかなんなのかはわからないが、いつも俺にふわふわと笑いかけてくる。そのせいで、俺はこいつにゾッコンなのだが…こいつは、正直よくわからない。
好きとも嫌いとも言わず、常にふわふわと笑ってるだけなんだから。
「ねぇ、ハルカ?ハルカは、喉から手が出るほど欲しいものってある?」
「難しい顔して、そんなこと考えてたの?」
 変なミライ、と笑った顔すらかわいくて仕方がない。あぁ、もう、ほんと。
「あのね、私はね、喉から手が出るほど、ミライが欲しい!」
 無邪気に言い放った言葉と、その笑顔。
おい、真っ赤な俺をどうする気だ、お前。


『の』どからてがでるほどほしいもの
2012.01.13