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複雑・ファジー小説
- Re: 『あ』から始まる ( No.43 )
- 日時: 2012/01/14 10:57
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 後半戦突入!
【ハッカ飴、あげるよ】
「お、飴ちゃん食ってんの?うまそうね」
休日の昼下がり。読書をしながら、飴をひたすら食べていたら、背後から彼氏の声。振り向くと、彼は、あーん、と口をあけた。
開かれた口をじっと見つめる。いい年して「飴ちゃん」とか、何貰う気満々なんだよ。とか突っ込みどころは沢山あった。けど、何も言わずに、飴の缶をひっくり返した。美味しいよね、サ○マドロップス。
ピンクや緑、黄色と、色とりどりな飴粒の中から、一つをひょいと取り出した。
「はい」
あーん、と馬鹿面を晒したままだった彼の口に、それを突っ込む。彼がぱくん、と口を閉じたのを見て指ごと突っ込まなくて良かった、と胸をなで下ろした。
「ん…ハッカか…」
なめながら、小さく呟いた彼に、ハッカは嫌い?と首を傾げてみせる。こういう時、背が低いのは得だ。自然と上目遣いになる。
「あのね、ハッカ、好きだからあげた」
返答に困ってる彼に笑いかけてみた。
ごめん、嘘。ほんとは嫌い。
なんて、うかれてる彼には言わないけど。
『は』っかあめ、あげるよ
2012.01.14
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