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【見よ、これが僕の創造世界】

　何も聞きたくない。何も知りたくない。何も考えたくない。
僕にとって、この雑音の溢れる世界は、苦痛でしかなかった。
僕にとって、無知が罪となるこの世界は、苦痛でしかなかった。
僕にとって、どんどん進化していくこの世界は、苦痛でしかなかった。
だから、新しい世界を創造してしまおう、なんて思いついてしまった。
「ねぇ。本当にやるの…？」
　足元を見て、おびえたように呟く相棒を、鼻で笑う。
「あぁ。君はそこで見てるといい。元からそのつもりだったんだろ？」
　二人の間に、沈黙が流れた。つまり、肯定。
まぁ、いいさ。こちらもそのつもりだったんだから。
　風が、僕の背を強く押す。
僕は、にんまりと笑って、後ろ向きに倒れ込んだ。
包み込むような風。なんだ、意外と包容力があるんじゃないか。
背中に、強い衝撃。悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴。目の端に映る赤色と、でっかい月。

ああ、そう。これだよ。一瞬の美。

　視界のはしに、相棒が見えた。僕は、口角をあげると、気づかないフリをして、目を閉じた。
どうだ、見て見ろよ。これが、僕の創造世界。

『み』よ、これがぼくらのそうぞうせかい
2012.02.16