複雑・ファジー小説

Re: 飛翔〜アイノソラヘト〜 【コメがぁぁあ!(欲しいんです)】 ( No.20 )
日時: 2012/11/28 20:39
名前: 日向 ◆BqHTUDkuhU (ID: kUrH10r6)

【第五話 1/2】

突如、部室に鳴り響いた着信。
龍牙はすぐに携帯を開き確認した。

『空軍科生徒二学年生以上に告ぐ。
 これは訓練では無い。実戦だ。
 旧日本国空軍オペレータより。
 南南西の方角から未確認飛行生物発見。
 推定体長10m〜、爬虫類型。
 それ以上の詳細は皆無。
 即刻、滑走路にて集合せよ』

「——これはどういうなんだ?」
しかし滑走路に向かう事しか今は選択肢がない。
「ユリ、夜月。急用だ。じゃあな」
「え?どういう事なんですか??」
「俺にも皆目だ」
そう言い残し龍牙は部室から飛び出した。
事情が分からない二人は唖然としてその背を見送った。

******

〜専用滑走路にて〜

生徒達は既に班ごとに並び、指示を仰いでいた。
指示を出していたタイソンは遅れてやってきた龍牙に檄を飛ばす。
「おい! 遅いぞ!!」
「——す、すみません!」
龍牙に檄を飛ばしたのは一瞬で、すぐさま生徒に向かって指示を出した。
龍牙もA班の列に加わりタイソンの指示に耳を傾けた。
「お前達もメールで知っている通りだ。連邦帝諸国の方向から生物兵器とおぼしきヤツがこちらに向かってきている」
「——生物兵器?」
龍牙は顔をしかめた。
軍事用動物なんぞ空想の産物と思っていたからである。
「あぁ。しかし情報が少なすぎるんだ。分かっているのは体長とトカゲっぽい奴、それくらいだな」
タイソンは禿頭をさすりながら片目をきつく閉じた。
「今回の飛行は実戦だ。訓練とは違う、死んでもそりゃあ仕方ない! それだけは覚えておけ! 以上!!」
「はい!!」

生徒たちは方々に散って班ごとの実戦用機体に乗り込んだ。
「生物兵器……」
龍牙がそう呟いたのをユイトは見逃さなかった。
「なんだよ、ビビってんのか?」
「何言ってんだ、そんな訳……」
「——おい、龍牙?どうしたんだよ?」
そんな訳ない、いつもならユイトのからかいを軽く受け流すつもりだったのに、今はその言葉の先が出てこなかった。
「——初めての実戦だからなのか分からない、だけど今回は嫌な予感がする」
ユイトもわずかながら(それ)を感じ取っていた。
「んーじゃあ、その嫌な予感が本当になる前にカタ付けようぜっ」
ユイトは龍牙の肩を景気よく叩いてから自分の機体へ向かった。

しかし、龍牙はしばらくその場を動くことが出来なかった——。