複雑・ファジー小説
- Re: 飛翔〜アイノソラヘト〜 【第1話始動】 ( No.5 )
- 日時: 2012/12/02 13:23
- 名前: 日向 ◆BqHTUDkuhU (ID: kUrH10r6)
- 参照: さぁ……駄文の宴の始まりだぜ!
『第1話 1/1』
入学式も終わりあちこちで笑い声や話し声が飛び交う。
その中で龍牙に声を掛ける少女がいた。
「龍牙っ!」
その声の主はすぐに分かった。
「ユリ??」
少女はユリ。ユリ・レイバーといった。
村雨高校留学科3年生、留学科なので「旧日本国」出身ではない。
しかし日本語は完全に習得している。
艶やかな青がかったロングヘアーで抜群のスタイルの持ち主なので目立つことこの上ない。
実際、村雨高校のアイドル的存在だった。
「あんたも二年生なのよね空軍科の……。出動も二年生はかかるんだって聞いたわ」
「そうだな。つか出動ねーと今まで戦闘機の勉強だとかが意味無いっての」
「まぁ、そうよね……。せいぜい死なないように頑張りなさいよ」
ユリはウィンクしながら龍牙を指さした。
「当たり前だろ。俺は『死ねない』からな」
それを聞いてユリは不敵に鼻を鳴らした。
「学生が戦死だとか洒落にもならないわよね——じゃあね、みんなが呼んでるから。また会いましょう」
そう言うとユリは友達の輪の中に加わっていった。
「ったく、何が言いたいんだか……」
訝しげにつぶやくと龍牙は空軍科教室へ向かった。
******
〜空軍科・A班ルーム〜
ここは空軍科Aルーム。
普通の学校でいえば組み分けされた教室にあたる。
春咲・S・龍牙はここA班に属していた。
「あー……」
龍牙は気怠そうに伸びをし、自分の机の周囲の友達を見回す。
そうするとある一人が口を開いた。
「どうしたんだ? ダルそーにしちゃってさぁ」
「いつもの事だよ」
龍牙に話しかけたのは友達の鷹岡ユイトだった。
同じ空軍科A班で話も合うので自然につるむようになっていった。
旧日本国とヨーロッパのラテン系のハーフで、癖のある金髪を後ろで縛っている。
さすがラテンと言ったところか、明るく人なつこい性格で龍牙もついついペースに乗せられてしまう。
ハーフではあるが旧日本国生まれの旧日本国育ちである。
「龍牙。オレ、思うんだけど、お前にはなんか日々の刺激が足りねーんだよな! えーと、そーだな……彼女とか作れば良いんじゃね!?」
「——いきなりどうしたんだ?」
ユイトがテンション高く提案すると龍牙は冷めたように言った。
「2年生になった俺らにそんな余裕無いだろ。その前に作る気にもならないけどな」
「はぁ? つまんね〜。でもユリちゃんとかお前に気ィありそうじゃね!?」
「さぁな。あいつは、何考えてるか分からないな。——そろそろタイソン隊長来るんじゃね?」
「え!? 次の教科ってタイソンだったっけ! やばやば準備準備!!」
ユイトは龍牙に寄せていたイスを戻し座り直し前を向いた。
龍牙はそのまま机に突っ伏し、目を閉じた———。