複雑・ファジー小説
- Re: 開かれし記憶の果てに。【オリキャラ募集開始!】 ( No.11 )
- 日時: 2012/05/20 17:30
- 名前: フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: Ouicm1PF)
- 参照: 完了!
第2話*疑問
「か、カイトさん……」
火梨は恐怖で動けなくなり、じっと僕の方を見つめています。
光星はというと、ぐったりした様子で火梨につかまっています。
一体何が……、そう思った僕の眼に映ったのは紛れもなく『闇禍』でした。
「なぜこんなところに闇禍が……? いえ、今はそう言う場合ではありませんね。」
一刻も早く二人を助けなければ。
中央任命機構と魔法師育成学校の両方には、ルメルを覆う結界とは別にもう一つ『強力な結界』があり、闇禍は侵入できない仕組みになっています。
実習場というところには訓練された闇禍がいるのですが……もし、逃げ出したなら、魔法石を介して知らされるはず。
「二人とも、しばらくの辛抱ですよ。『水よ、悪しきものを浄化せよ!』ウォーティル・アレスト『捕縛の水縄』!!」
幾重にも分かれた水の縄が、闇禍をこれ以上動かさないように締め上げる。
「クロス・ブレード・ウォーティー『戒めの双剣』!!」
続けて放ったのは、二対の剣。
剣は、弧を描いて闇禍の中心に突き刺さりました。
「グアアァァァァァアアァ……!!!!」
うごめく闇禍は、「ばーか!」と叫ぶ火梨の一声と同時に黒煙となって消失しました。
一件落着、と言いたいところですが、光星の様子がおかしいので僕は光星を医療舎に連れて行こうとしました。
「光星に熱があるので、火梨は教室に……」
「あ、まってください! わたし、この子にたすけられたんです! ……わたしも、行かせてください……。」
本来なら、必ず教室にいてもらうのですが……、まぁ、
「いいでしょう。一人より二人の方が安心です。」
僕は治療後、再び教室に戻らなければなりませんし……それに、
あの闇禍は、どう考えても『ありえません』から……
————医療舎
「あら、海斗。どうし……光星!?」
「大丈夫ですよ、星羅。気を失っているだけですから。」
話しかけてきたのは、僕のクラスメイトである星羅。
光星の母親なのですが、体が弱いため医療舎で過ごすことが多いのです。
もちろん、魔法を使う『実習』も出ることができません。
「一体何があったの? それにこの子は……?」
星羅は火梨を見て首をかしげます。まだ知らなかったのですね。
「この子は火梨です。光星が彼女を助けたみたいなので……」
「そうだったの。ついてきてくれたのね、ありがとう。」
ベット越しに頭を下げた星羅に、火梨はブンブンッ! と首を振ります。
「わ、わたしはただ、この子にお礼が言いたくて……」
「くすっ、律義なのね。」
「りちぎ??」
幼い火梨にはその言葉の意味は分からないようですね。
「助けてもらった人にはきちんとお礼を言う人のことですよ。」
「そ、そうなんだー……」
そして、幸いにも光星は闇禍の放つ邪気に当てられただけですぐに回復しました。
しかし、念を置いて火梨と二人で医療舎にいるようにし、僕は下級クラスに戻りました。
————上級クラス 放課後
放課後……とはいってもまだ日は高い。
私こと焔蘭は、一枚の紙に書かれたある名簿を見つめながら思案……つまり、にらめっこをしていた。
「どないしたん? 焔蘭ちゃん? ……あぁ、これだな。」
ふざけるな、徨命。
「分かったら何か案でも出せ。バランスとかあるからな。」
「せやなぁ〜、ワイはこの子とこの子と……」
徨命が指すのは、女性ばかりだ。ほんっとうにあきれる。
「却下。」
「えぇ〜!? 何でなん!? 月陽ちゃんはワイと魔法合うし、七菜ちゃんはサポート系やし……」
「お前なぁ、両方とも地属性系だろ! バランスを考えろと言ったはずだ!!」
やっぱりこいつは考えない&使えないな。
海斗がいればかなり助かるが……ん?
ガラガラガラ……
「遅れてすみません、焔蘭。下級クラスの子たちは全て帰りましたよ。」
「ちょうどよかった、徨命ではどうにもならんから、グループ編成に付きあってくれ。」
「構いませんよ。」
下級クラスの生徒が無事に帰りついたということなので、海斗は上級クラスに戻ってきたのだそうだ。
「そうですね……、今までやってきた実習から考えると……」
「それもいいな。だが……」
私と海斗が真剣に議論している中、徨命だけが「ワイはお荷物かいな……」とふてくされていたのは言うまでもないだろう。
と、そうしているうちに夕暮れになってしまった。
私や徨命は寮生なので問題はないが、海斗には蓮翠と、矛燕……とか、息子がいる。
「結局決まらなかったか。残念だな。」
「まだすぐに決めなくても、今まで実習していたグループで様子を見てもいいでしょうし。」
「あぁ、そうだな。」
ちなみに、グループは4〜9人構成で、私の班のメンバーは【焔蘭・海斗・徨命・蓮翠・(星羅)・琴夜(ことよ)・夕葵(ゆうき)】の7人だ。
あとの二人は、また紹介しよう。
さぁ、帰ろうか。