複雑・ファジー小説
- Re: 開かれし記憶の果てに。【オリキャラ募集開始!】 ( No.7 )
- 日時: 2012/02/28 13:18
- 名前: フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
- 参照: シリアス・ダークの内容とまるっきり変更しております!!ご注意!!
<第一章:今という名の幸せ>
第1話*魔法師育成学校
ここは、ウィシュールという世界。
自然が多く、人々は5つあるそれぞれの町で暮らしています。
人々の中には、『魔力』というエネルギーを持ち、それを『魔法』として行使する私達『魔法師』がいます。
もちろん、魔法師ではなくとも魔法はつかえますが、媒体となる『武器』がないため微々たるものとなります。
魔法師になるにはここ……魔法都市ルメルの北に位置する『魔法師育成学校』に通い、魔法師としての『資格』を得る必要があります。
ちなみに、ルメルは、地図上で真ん中に位置します。
古代神殿アマナス——世界から離れた島——が強い揺れを起こした今から24年前に、開拓地であった場所の周りが陥没。
そして、一人の火属性魔法師がルメルを立ち上げ、『初代長官』として魔法師育成学校並びに中央任命機構の第一人者となりました。
しかし、それから5年後。
ですが、初代長官は何者かに殺され、今は『翼』という長官が代わりにルメルを治めています。
これは、矛燕達が旅をする10年前……
まだ中央魔法連盟所が、魔法師育成学校と中央任命機構に分かれていた時の話です。
朝日が心地よい風とともに、部屋に入ってくるのを感じながら僕……上級クラスの会長である海斗は、昨日の夜に起こった出来事を朝礼で報告していました。
否…今現在している、といった方がいいですね。
「……というわけで、闇禍が現れやすい夜間の外出は控え、本日、上級魔法師は町の警護を行います。
それ以外の下・中級クラスは午前の授業を行ってから帰宅、と長官からの指令がありました。」
「海斗、一ついいか?」
凛とした声と同時にまっすぐ上がった手の方向にクラスの皆の目が一人の女性に集まる。
注目されているにも関わらず、その瞳は僕に向けられていますが。
「えぇ、いいですよ……焔蘭。」
そうか、と返事をした、焔蘭という長い黒髪をポニーテールにした女性はすっと立ち上がりました。
彼女はこのクラスの中でも1、2を争う魔法師で、火魔法師の中では最高位です。
「実は、昨夜闇禍に襲われたのは私だ。」
「ななな、なんやて!?」
そう言い、ガタッと音を立てながら勢いよく立ち上がったのは、先程まで居眠りをしていた……
「あなたには聞いていませんよ、この変人。」
「違うやろ海斗! ワイの名前は徨命……ってそんなん言うてる場合かっ!」
変人もとい徨命は、焔蘭の一言で飛び起きた…と言っても過言ではないですね。
言った本人(焔蘭)はその様子にため息。
「徨命、悪いが嘘だ。」
「そうなん嘘か焔蘭ちゃん……って、何ぃ!?」
騙しおったな海斗ぉ! と私に悪態をつく徨命。
何故私に殺気が向けられるのでしょう? 嘘をついたのは焔蘭です。
「んとに……静かにしろ徨命っ!」
バンッ!と見かねた焔蘭が机を叩き、徨命のみならずその場にいた全員が静まります。
「確かに襲われたのは嘘だが、一般市民を襲った闇禍に遭遇したのは本当だ。
その闇禍は、同じ属性の魔法を使うと耐性をつけた。」
——なんだって?
——闇禍に同じ属性の魔法が通じない…
案の定、ざわつき始めた教室に焔蘭は無視のよう。
「だからと言って敵わない敵ではない。チームを編成し、警護にあたることを会長に提案する。」
どうだ? という顔でこちらを見る焔蘭。
「僕は賛成です。異論は?」
無し……ですね。
「分かりました、チームを編成します。編成したいくつかのチームで町を警護。
以上をもって朝礼を終了し、副会長の蓮翠は中級クラスへ通達を。僕は下級へ。」
「はい、会長。」
青緑の長髪を一括りにした女性……僕の妻である蓮翠は、にこやかに微笑み、すぐ教室へと向かいました。
魔法師育成学校では、それぞれの階級によってクラスが分かれています。
魔法師は、『上・中・下』級に分かれています。
ほとんどが年齢別であるような気もしますが、ちゃんとそれぞれの級に見合う実力かどうか『魔法師認定試験』で判断していますよ。
下級クラスは4、5歳〜12歳程度。
中級クラスは13歳〜16歳。
上級はそれ以上の年齢が多いですね。
もちろん、これはあくまで大体の年齢で分けただけであり、『例外』も存在します。
この話は後にしましょう。もうすぐ下級クラスにつきますから。
——下級クラス
「昨夜、強い闇禍が現れたので、今日は午前の授業で終了し、午後には下級・中級クラスともに帰宅します。」
ざわざわと教室が騒がしくなってきましたね。
中には「えー!釣りに行こうと思ったのに!」とか「よっしゃーっ!遊べるぜー!」など聞こえてきますが…、本当に事の重大さを分かっているのでしょうか?
まぁそれが子供のいいところなんでしょうね。
無邪気で元気で…。
「おと……、海斗さん。」
恐る恐るといった風に手を挙げたのは、6歳の——僕と蓮翠の息子である——矛燕。
最近に下級魔法師として任命されたんですよ。
え? それまでは何か?
試験に合格していない魔法師も『魔法師』ですが、ただ『魔法を扱う力がまだない』魔法師というだけです。
クラスも下級で行います。
「何か質問がありますか?」
「あ、えと、コウセさんがトイレって。」
矛燕の隣の席に、銀髪の翡翠の目をした少女がお腹を抱えて苦しそうにしているのがわかりました。
彼女は確か、『星羅』という上級魔法師の子だったはず。
生まれつき体も良くない星羅は、よく上級クラス必須の『実習訓練』に参加できずにいたのを覚えています。
光星もそうなのでしょう。
「わかりました。すぐ近くにあるので、一人で行けますね?」
僕の言葉に光星はコクン、とうなずき、ゆっくり立ち上がって教室を出て行きました。
……と思いきや、もう一人立ち上がりました。
「せ、せんせい、わたしもでーすみたいな……。」
「ヒナ、なんでさっきいわなかったんだよ。おそいだろ。」
「いいでしょっ!べつに!あとヒナシだもん!」
「喧嘩はよしなさい、二人とも。火梨、行っていいですよ。」
安堵のため息と同時に駆け足で、火梨は教室を出ました。
……矛燕にあっかんべーをしてから。
僕の友人の『琴夜』と『夕葵』の子供の一人であり、矛燕の幼馴染とも言える彼女らしいです。
もうすぐ帰ってくるはずの二人の悲鳴が聞こえたのは、
それからしばらく経ってからのことだった。
————そして、物語の幕は上がる。